第四十五話 帰宅
受け取った腕輪をそのまま左腕にはめた。
「お似合いですよ」
ウィーラさんは優しく微笑む。
「あ、ああ、どうも……」
「それで、これはどう使うんですか?」
「とても簡単ですよ。まず、腕輪をドラゴンさんの方へ」
ウィーラさんの言われた通りに腕輪を父さんの方に向ける。
「そしてこう唱えてください。『汝、我と❐◣❂✢する覚悟はあるか』と」
「え、なんて?」
なんか今、知らない言語が交ざってたぞ?
「ですから『汝、我と❐◣❂✢する覚悟はあるか』と」
「いやその、我との次です!知らない言語があるんですが……」
「ああ、古代言語のことですか」
……コダイゲンゴ?
「あれだよ、ルビア。『文明崩壊』以前に使われてたってやつだよ」
「お〜……あっ、あれか〜」
あっ、これはまたしても私だけ知らない系ね。というか、スタート・ワールドいうのはこの世界にとってそこまで重要なのか?
う〜む……よし。帰ったら勉強しよう。うむ!やった方が良しッ!!
「で、で、なんて言うんですか?」
「ケミーゴです」
「アミーゴ?」
踊るのか?
「ケミーゴですッ!」
「あっ、はい〜」
「どういう意味なんですか?」
「それは……私も知りません」
あっ、これは誰もわからないやつね〜。
そう思っていると、今まで黙っていた父さんが口を開く。
「ケミーゴってのは、挽回って意味だな」
「「「えっ!?」」」
なぜッ、とととと父さんが知っているのだ!隙あれば酒を飲む親だぞ!?
「なんでドラゴンさんが知っているのですか?」
「そうだよ、そうだよ!!」
「なぜって……魔物同士だったら今でも普通に使ってるからよぉ、わかるぞ」
「それは初耳ですね……」
「そうなんだ」
「なるほど、それなら納得だ」
そういうことね〜……理解、理解。
「……でも、なんで挽回なんだろう?」
「そう言われれば確かに」
ふ〜む、“貴方は私と挽回する覚悟はあるか?”か。意味わからん!
「俺が知るか!その言葉にしたのはそれを作った人間だろ?」
「ほほ〜う、父さんにしてはまともな解答ですな!」
「確かに確かに」
「俺、今、罵倒されてる?」
ある意味そうですよ!まぁあ、これでチャラにしてやろう!!
「ウィーラ様!どこですか!!」
屋敷の方から誰かがウィーラさんを呼ぶ声がする。
「そろそろ時間ですね。ルビアさん、さあ……」
「あっ、はい」
彼女もこれからいろいろと忙しくなりそうだし、とっとと済ましますか〜。
再び父さんの方に腕輪を向ける。
『汝、我と❐◣❂✡《ケミーゴ》する覚悟はあるか?』
『おうよッ!!』
父さんが私の問いに応えると腕輪が光りだし、父さんを光が包みこんだ。
「眩しッ」
そして光が消えると、父さんの姿は消えていた。
「お父さんが消えた……」
「成功ですね」
「はぁあ」
「出し入れする時は『出てこい』とか『戻って』とか言えばいいんですよ」
「なるほど」
『出てこ〜い』
言われた通りに唱えてみると、腕輪が光り、父さんが出てきた。
「うぉ?おう、でたぞ?」
すっごい、こりゃたまげた。
「使い方は一通りおわかりいただけましたか?」
「ええ、時間がないのにありがとうございます」
「いえいえ、ほんの少しの恩返しですので……この先に車をご用意しておりますので、そちらを使ってお帰りください」
最初の方なんと言っていたかわからんが、まぁ、感謝!ありがとうございます!!
「何から何までありがとうございます。では、またいつか……」
「ありがとうございました」
「ありがとよっ!」
私達は礼をして、車の方へ歩き出した。
一件落着〜……って、あれ?何か忘れているような――まぁあ、いっか!
「またいつかですか……案外近いかもしれませんね……」
《次章紹介》紹介:ティア
今回はいろんな人に振り回されて、まさに混沌だったよね!
さぁて!次章は、季節は変わり夏に……暑くなりすぎて耐えきれなかったルビア達一行は涼む為に海へお出かけを決意する。
そしてその裏では、様々な陰謀が蠢くーー
海かぁ〜、私行ったことないんだよねー。あっ、どうしよう!私、水着持ってない!!
《第三章》陽に照らされる陰




