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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第二章 それぞれの邂逅
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第四十話 お願い

 翼が止まったのを確認した私は掴まり直し、命拾いしたわけなのだが……

 

 完全にやらかしてしまった。まさかここまで食いつくとは。


「では一つ、お願い事を聞いてくれますか?」


 うん、ちょ〜〜うこわ〜い!!


「え、ええ……いいいいです、よ?」


 しか〜し私は今は敵の手の中、言ってしまった以上はやるしかない!


「――な、な、なんでしょ〜うか!」


 おら、バッチこ〜い!!


「何そこまで警戒されなくて結構ですよ、内容は簡単ですので」


 あっ、そうなの?


「貴方、先程『文明崩壊スタート・ワールド』と《無獣》の関係性が違うと言いましたよね?」


「あっ、はい〜」


 掘り返すのはやめてくれ〜、恥ずかしい!


「貴方にはそれを広めてほしいのです」


「はい?どゆこと……」

 

「細かいことは省きますが、我々にとってこの事はとても大事なことなのです」


「はぁ……」


「しかしあの二人のように今では知っている者がほとんどおりません」

  

 私も知りませんが?


「だからこそ広めていただきたいのです」


 ふ〜む……わからん。なんかいい感じに言いくるめようとしているが意図がさっぱりだ。


 それによ〜く考えれば、先程から上手く話を脱線させてたり、父さんが《無獣》だという言いがかりをつけたりして、まるで事件の真相を隠そうとしているようだが……


「――そろそろ応えをお聞かせいただいても?」


 う〜む、どうしよう。なんだかとても嫌〜な予感しかないのだが!


「くっ……わ、わ、わ〜かりましたッ!お受けいたしましょう!!」


 もう考えても無理だ!!

 

「本当ですか、それは良かったです」


 様子は見えんがたぶん納得してくれているだろう。


「あ、そういえばジェームズの件についてお聞きしたいとか」


「ああ、そうです、そうです」


「真相はまだ言えませんが、特別にこれだけはお伝えしましょう」


 まだ?……というか何か教えてくれるのね〜。


「ジェームズは庭にある杉の木の下で眠っておりますよ」


「それは本当です――あっぶな〜〜いね!!」


 あまりの事で、体勢を崩して危うく落ちそうになってしまった。

 う〜む、セーフ!


「はい、是非ともウィーラにご伝えください」


「わかっております!」


「では、わたくしはこれにて――」


「え?」


 これにて一件落着と思った瞬間、カラスの魔物が高速で回転する。


「なんどぅええええぇぇぇぇぇぇええ!!」


 私は耐えられず、翼から手を離してしまった。

 そして、そのまま真っ逆さまに落ちていく――


 終わったぁぁぁぁぁぁああああ!!死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

 


 

 

《お知らせ》

 次回の投稿は10月31日(木)を予定しております。

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