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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第一章 動き出す歯車
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第四話 新しい家族

「た、ただいま」


「おかえりルビア。今日は遅かったな」


 家に帰ると兄さんが出迎えてくれた。


「ちょっといろいろとトラブルがありまして……」


「そうか。それでその獣人の子は誰だ?」


 そう言うと、ルビアの後ろに隠れているティアを一瞥いちべつした。


「……えーとですね。こ、これは……トラブル?」


 ルビアは起きたことを全て話した。


「話はわかった。とりあえず飯は食べていけ」


「あ、ありがとうございます」


 兄さんは家の奥へ戻って行った。


「あ〜そういえば、私の家族のこと言ってなかったね。見ての通り、私の家族は魔物だ。言葉足らずで申し訳ない」


 ルビアは軽く頭を下げた。


「そんな、頭を上げてください。別に私は気にしてません!!」


 ティアはものすごい勢いで言った。


「うっ、うん、そうか……では行こうか」


 そして二人も家の奥へ向かっていった。


ー◆ー


「よーし、これで一件落着だな」


「そんな訳ないだろ」


 う〜む……選択を間違ってしまったかもしれない。


 父さんにも話したまではいい。い〜や、話すべきではなかった。


 父さんが彼女の現状を聞いた途端、「よし、今から俺らの家族だ!」と言い出した時はマジで驚いた。

 

 まぁ、訳ありっぽいが家族になることに別に反対はしない。

 問題は私の計画に支障が出るかもしれないことだ。


 すっかり忘れていたが今現在、計画順調問題というものがある。それに加えて新しい家族が増えるとなると、不安しかない。


 というかそもそも、彼女はどう思ってるんだ?


 そう思い、ティアの方を見てみると……


「これも美味し〜い!」


 さっきまで弱々しかった彼女は、満面の笑顔で飯を頬張っていた。


 あっ、これ、話聞いてえーわ。


「それでどうなんだ、ティア?」


 すると父さんは問いかけた。


「え、何がですか?」


 やっぱり。


「聞いてなかったのかよ。だから俺らの家族になるかって話」


 ん……ま、待てよ?


「えっ!?か、家族?」


「そうだ、家族だ!」


「なんでですか?私いわゆる訳ありですよ。そ、それに今日、初めて会った赤の他人ですよ!?」


「関係ない!困っている人がいたら助ける。そういうもんだ」


「ちょっと待って〜〜!!」


「どうしたんだ、ルビア?」


 私は割り込まずにはいられなかった。


「なんで、家族になる前提なんですか?それに兄さんはどうして止めないんですか?」


「ルビア、諦めたほうが早い」


「そういうことだ!」


「で、でも彼女のことを考えないと……」


「だから聞いてるんだろう。それでどうするんだ?」


 確かにもう、ダメだ……諦めよう。


「えーと、私で良ければ……」


 どうやら彼女も諦めたようだ。


「よ~しそうと決まれば、今日はティアの歓迎会だ!酒持って来い!!」


「ダメだ。あんたは飲み過ぎだ。」


 こうして、半ば強引で新しい家族が出来るのだった。


 

 





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