第四話 新しい家族
「た、ただいま」
「おかえりルビア。今日は遅かったな」
家に帰ると兄さんが出迎えてくれた。
「ちょっといろいろとトラブルがありまして……」
「そうか。それでその獣人の子は誰だ?」
そう言うと、ルビアの後ろに隠れているティアを一瞥した。
「……えーとですね。こ、これは……トラブル?」
ルビアは起きたことを全て話した。
「話はわかった。とりあえず飯は食べていけ」
「あ、ありがとうございます」
兄さんは家の奥へ戻って行った。
「あ〜そういえば、私の家族のこと言ってなかったね。見ての通り、私の家族は魔物だ。言葉足らずで申し訳ない」
ルビアは軽く頭を下げた。
「そんな、頭を上げてください。別に私は気にしてません!!」
ティアはものすごい勢いで言った。
「うっ、うん、そうか……では行こうか」
そして二人も家の奥へ向かっていった。
ー◆ー
「よーし、これで一件落着だな」
「そんな訳ないだろ」
う〜む……選択を間違ってしまったかもしれない。
父さんにも話したまではいい。い〜や、話すべきではなかった。
父さんが彼女の現状を聞いた途端、「よし、今から俺らの家族だ!」と言い出した時はマジで驚いた。
まぁ、訳ありっぽいが家族になることに別に反対はしない。
問題は私の計画に支障が出るかもしれないことだ。
すっかり忘れていたが今現在、計画順調問題というものがある。それに加えて新しい家族が増えるとなると、不安しかない。
というかそもそも、彼女はどう思ってるんだ?
そう思い、ティアの方を見てみると……
「これも美味し〜い!」
さっきまで弱々しかった彼女は、満面の笑顔で飯を頬張っていた。
あっ、これ、話聞いてえーわ。
「それでどうなんだ、ティア?」
すると父さんは問いかけた。
「え、何がですか?」
やっぱり。
「聞いてなかったのかよ。だから俺らの家族になるかって話」
ん……ま、待てよ?
「えっ!?か、家族?」
「そうだ、家族だ!」
「なんでですか?私いわゆる訳ありですよ。そ、それに今日、初めて会った赤の他人ですよ!?」
「関係ない!困っている人がいたら助ける。そういうもんだ」
「ちょっと待って〜〜!!」
「どうしたんだ、ルビア?」
私は割り込まずにはいられなかった。
「なんで、家族になる前提なんですか?それに兄さんはどうして止めないんですか?」
「ルビア、諦めたほうが早い」
「そういうことだ!」
「で、でも彼女のことを考えないと……」
「だから聞いてるんだろう。それでどうするんだ?」
確かにもう、ダメだ……諦めよう。
「えーと、私で良ければ……」
どうやら彼女も諦めたようだ。
「よ~しそうと決まれば、今日はティアの歓迎会だ!酒持って来い!!」
「ダメだ。あんたは飲み過ぎだ。」
こうして、半ば強引で新しい家族が出来るのだった。