第三十七話 たたたたた、滝が……
カラスの魔物はどんどんと小さくなっていく。
レイヴンに至ってはもうゴマ粒のようにしか見え〜ん!
「待ちなさいッ!……待ちなさぁーい!!」
ウィーラさんは遠くなっていくレイヴンに向かって、ずっと叫んでいた。
こんな時にあれだが、そ〜ういえば彼女にとってジェームズさんはどのような存在なのだ?
部下思いの上司で素敵だな〜と思っていたが、あの様子だとそんな感じではなさそうだ……ふ〜む。
「そういやぁ、ジェームズ?って奴とはどんな関係なんだ?」
お〜〜い!父さんよ、そのデリカシーのなさはどうかと思うぞ!?まあ、私も気になってはいるが。
「はぁ、はぁ……ジェームズとの関係ですか……?」
「そう……ひっく」
「そこまで大した関係ではありませんが――」
そう言うと、ウィーラさんは話し始めた。
ー◆ー
ジェームズは元々、ウィーラの父に仕えていた秘書官だった。
仕事はいつも丁寧かつ手際が良く、父からの信頼が高かった。
ウィーラはそんなジェームズに憧れ、父の役に立とうと勉学に勤しんだ。
しかしそれは、叶うことがなかった――
父が突然、病に倒れたのだ。
日が経つにつれて衰弱していく父をウィーラは介護することしか出来なかった。
ジェームズも雑事をこなしながら、二人を検診的に支えた。
それでも父は回復することはなく、そのまま旅立った――
母はウィーラがまだ幼い時に既に旅立っており、ウィーラは十四という若さで当主となることになった。
ウィーラは当主という重責と父の死に耐えられず、不安定になってしまう。
ジェームズはそんなウィーラを……一人を検診的に支えた。そして、そんな時にも雑事をこなし続けた。
結果的に時間は掛かったがウィーラは回復し、フカーヨス家はあっという間に立て直した。
その後ジェームズは執事長として家をまとめ、ウィーラは政治面で家を支え、今のフカーヨス家となった。
ー◆ー
「――簡単に言ってしまえば、家の為……いえ、父の為に支え合っている関係ですね」
「ウィーラさん……」
「……」
お、おっお〜う、なぁ〜んと素敵なのでしょう!!今は亡き父の為に二人で支える……実に素晴らしい!!!!
「お、お、お……」
「うん?」
なんか、父さんが固まっている。どうした〜んだ?
「うぉーーおぉぉおぉぉ!!なんでいい話なんだぁーー!!!!」
うわぁお、まさかの大洪水……




