第三十六話 考えるカラス
ちょっと諦めかけた、その時だった。
「フンッ――!」
目の前が真っ赤に染まり、黒い短刀が飲まれていった。
「大丈夫ですか、ルビアさん?」
「ルビア、怪我は?」
「え、えぇ~平気です」
たっ、助かった〜!ん?しかし一体何が?
「これは、これは」
「うぇップ……ルビア待たせたな……」
そう言ったのは拳を突き出していた父さんだった。
その姿はさっきまで滝を流していたものとは真反対のものだった。
「父さん――」
私の中で父さんの威厳が少し回復した。
「うッペ……話はほとんど聞いちゃいねーが、とりあえずコイツをぶん殴ればいいんだろ?」
父さんはレイヴンを睨みつける。
「なんとも心強いお父上なのでしょうか。で・す・が、今貴方と衝突するのは好ましくありませんので――」
レイヴンはパンッと、手を合わす。
「――ここは引かせていただきましょう」
突然の一言に場の空気が凍りついた。
「何を言ってやがる!?」
「その通〜りである!」
このままでは私が大事故を起こしたまま、終わってしまう!せめてスタート・ワールドの事だけでいいから教えてくれぇ〜い!!
「言いたい事はよくわかります。ですがこちらにも“都合”というものがありますので、ご容赦ください」
「好き勝手にして逃げられると思いますか?」
「みんなを巻き込んだんだから、責任ぐらい取りなさいよ!!」
お、ティアよ、それはいい方向性だぞ。
「ふむ、それもそうですね……」
「つべこべ言ってんじゃねぇー!!」
「えっ」
父さんが話の腰を折って、レイヴンに突っ込む。
お〜い、父さん!今良い雰囲気なのだ!!邪魔を入れるなぁ〜〜〜〜!!!!
「おっと」
レイヴンは咄嗟に後ろに飛ぶ。
すると森の中から大きなカラスの魔物が現れ、レイヴンの両肩を掴んだ。
「なんだぁ?」
「お迎えが来ましたか」
レイヴンはそのまま空中に停滞する。
え、え、えッ!どういう状況〜状況!?
「――おっと、忘れるところでした。この一件のお詫びとして、皆さんが無実になるように手配しておきましょう」
「うん?どぉいうことだ?」
「それだけ?」
えっ、それは嬉しいけど、あのニューワードにはノータッチでいくのか!?
「待ちなさい!ジェームズの件を全て話しなさい!」
「えーと、そうだ!」
一名を除き、納得していない。
「申し訳ありませんが、これにて失礼します」
レイヴンがそう言うと、カラスの魔物は高く上がり、どこかに向かって飛んでいった。
え、終わり?




