第二十九話 砂埃の中から……
「行きましたね」
「行っちゃいましたね」
ティア達は咄嗟に近くの草むらに隠れ、難を逃れていた。
「どうします?」
「ここはルビアさんが時間を稼いでくれている今がチャンスです。進みましょうか」
「わかりました」
二人はルビアの無事を祈り、小屋へと向かって行く。
「そういえば、あの騎士団はウィーラ様が管理してるんじゃないんですか?」
ティアは声を潜めて問い掛ける。
「厳密に言えばそうなんですが、彼らの拠点は町中にあるので間接的な管理なんですよ」
「成程、そういう事か……」
ティアはウィーラに聞こえない声で呟く。
「いきなりそんな事を聞いてどうしたんですか?」
「いや〜ウィーラ様がビシッと、言ってくれたらどうにかならないかなっと思って」
「そうだったらこんな状況になってませんよ……」
ウィーラは声を細めて呟いた。
「あっ、どうやら着いたようですよ」
そうこうしている内に二人は目的の場所へ辿り着いた。
「跡形もありませんね……」
「……ですね」
二人の目の前には焼け焦げた小屋の残骸と黒く染まった樹木が広がっていた。
そして炭の匂いが二人の鼻を突く。
「ジェームズさんはいなさそうですね」
「困りましたね。ルビアさんもいない以上、ヘタに行動出来ませんし……」
二人は辺りを警戒しながら残骸へと足を進める。
「この感じとさっさの揺れから考えると、爆発の方が濃厚ですね」
「確かにそう考えるのが妥当ですが、今はそれより……ん?これは……」
ウィーラは何かを見つけ、その場に伏せる。
「何かありました?」
「ここにルビアさん達が乗って来たトラックの走った跡がありまして」
「ん?……ああ、この大きさは完全にトラックですね」
「これはトラックで逃亡したという事でしょうか?」
ウィーラは恐る恐る問い掛ける。
「そうですかねー」
ティアは即答した。
「……」
その答えにウィーラは息を飲んだ。
「でもこれじゃあお手上げですよ。どうします?」
「と言われましても――」
二人が頭を抱える、その時だった。
ギギィィィイイと砂埃を舞い上げながら、ゴルフカートがドリフトしながら現れる。
「ええッ、何何!?」
「えっ?家のゴルフカート!?」
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ……ど〜やら、アクセルを踏みすぎたようだ……へぇ~ぷしょん!!」
砂埃の中からデジャブかのように二人の聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「えっ、ルビア!?」
「ルビアさん!?どうして……」
砂埃が消えると、そこにはゴルフカートに乗ったルビアがいた。
「ほぉ〜聞きたいですか?私の華麗な鬼ごっこを――」
「いや、それより騎士団は?」
「あっ、そ〜うだった!?二人とも早くカートへ乗りたまえ!!」
ルビアはゴルフカートの後部座席を指差す。
「と、とりあえず乗りましょう!」
「えっ、あ、はい!!」
二人は後部座席に乗り込むと、ルビアはゴルフカートをかっ飛ばした。




