第二十六話 プリズンブレイク!!
ティアはウィーラの言葉に愕然した。
「どっ、どういう事ですか!?」
「騎士団が共犯だった場合、ルビアさんを犯人に仕立てるのは簡単です。それにあの動き、まるで誰かに指示を受けているようでした」
「それだけで決めるのは……」
「私も半信半疑です。ですがどちらにしろ、今の騎士団を信用するのは危険だと思っています」
「じゃあどうするんですか?」
ティアは真っ直ぐな眼差しをウィーラに向ける。
「ルビアさんを脱走させます」
「ああ、脱走ですか……って、ええ!!本気ですか!?」
「ええ、本気です」
今度はウィーラが真っ直ぐな眼差しを向ける。
「それって領主として大丈夫なんですか?」
冤罪者だろうと脱走の手助けをすれば、罪に問われる。
それが領主となれば、バレた時にはタダでは済まないだろう。
「問題ありません。これは私のちょっとした恩返しなので……」
ウィーラはそっと微笑んだ。
「はぁー、そういう事かぁ。……まぁいいや、じゃあやりましょうか!!」
「はい。では、まず作戦を――」
ー◆ー
「ど〜しよう!」
私はさっきから巻き返す為の一手がないか思考を巡らせ、牢屋内を徘徊していた。
「う〜む、だがこれから私はどうなるやら?」
先程から屋敷が揺れたり、騎士団の人が慌ただしかったりと、外は何やら大変そうで私なんか忘れられていそうだ。
「はぁ~、冤罪とは恐ろしいものだ……ん?」
すると、入口の方から誰かの話し声が聞こえてきた。
「で、あのガキどうするんだ?」
「殺せだとよ」
あぁ〜どうやら騎士団の人が来たようだ。
良かったぁ〜忘れられてないようでよか――え?
ん、ん~~?えっ、え!こっ、殺す、今殺すって言った!?ちょっ、ちょっ、え!?
「だが災難だよな。あの“ドラゴン”に関わっただけなのによぉ」
「違うだろ。あの組織にだろ?」
「そぉだったな」
そして下品な笑い声が響く。
なんだ、なんだ組織とは!?い〜や、今はそんなのどうでもいい!どうする、このままでは首が落ちる!!
そう言っている今もどんどんと、騎士団の人が近付いて来る。
「ななななっ、何かないのか!?」
私は牢屋内を見渡す。
あるのは、かったぁ〜いマットレスのベッド、カビの生えた木製の机、そして――
「下水直行の便所……」
「こっちだ」
騎士団の人はもうすぐそこ……くッ、やむを得ん!!
ー◆ー
「ルビアく〜ん、釈放の時間で……ってあれ?」
「どうした?」
騎士団の二人は牢屋の前で立ち止まる。
「ガキがいねぇーー!」
「なんだと?」
二人は慌てて牢屋の中に入る。
「おい、どうする。逃がしたなんて報告はやばいぞ!」
「いや、こっちだ」
一人の騎士団員が指したのは蓋の開いた便所だった。
「マジかよ。ここ行ったのかよ」
「行くぞ」
「正気かよ!嫌だぞ俺は!!」
「早くしろ、俺らの首が飛ぶ事になる」
そう言うと騎士団員の一人は便所に入って行った。
「ああ、もぉ知らん!」
葛藤しつつも、もう一人の騎士団員も便所ヘ入って行った。
そして牢屋は空の状態になる、筈だった。
突然ギシギシとマットレスが動き出し、中から一人の少年が出てくる。
「作戦成功――」
マットレスから出ると少年は背筋を伸ばし、身なりを整える。
「フ〜フフフフフフ、ハッ〜ハッハ!誰があんな所入るものか!!」
少年は高笑いしながら、牢屋の外に出る。
「まさか即興で考えたものがこんなに上手くいくとは」
少年は入口の方へ向かいながら、次の事を考え始める。
「さ〜て、まずはどう言い訳するか?いや、先に外の状況を確認するのが吉だな」




