第二十五話 デコボコ
「――話は良くわかりました。ですが念の為、ジェームズと彼女のお父上の失踪とこの事件が関連していると考えて捜査を進めてもらいます」
「は、はい……承知致しました……」
「はぁ、はぁ……まあそういうことにしときましょうか」
二人は阿吽の呼吸で言い訳をし続け、息を荒げていた。
「とりあえず一旦我々の拠点で整理致しますので、ティアさんもご同行いただけますか?」
「えっ?私ですか!?」
「はい、この二つの事件の共通点は貴方の家族にありますので、貴方の家族について詳しく聞かせていただけたらと」
騎士団員は“詳しく”を強調して告げる。
「まぁあ……ルビアの為なら……」
ティアはその言葉に反応し、尻尾をふりふりと動かす。
「はぁッ!貴方、まさか……!!」
ウィーラは彼女の尻尾の違和感に気付くと同時に察する。
「……き、禁断の……恋」
ウィーラは誰にも聞こえない声で呟く。
「あの私もお供致します!」
「いえいえ。自分の大事な使用人が消えて心配になるのはわかります。しかしウィーラ様は領主としての職務があるでしょうし、ここは私どもにお任せください」
騎士団員は深々と礼をし、丁重に断る。
「そうですよねー」
「ご心配ありがとうございます。でもご安心ください、ウィーラ様のお気持ちはしっかり頂きましたので」
ティアはウィーラの肩に手を置き、笑顔で言う。
「貴方、結構たちが悪いんですね」
「では行きましょうか」
「あっ、はーい。ウィーラ様、今日はありがとうございました」
ティアは一礼し、騎士団員の後に続こうとする。
「何!?」
突然、大きな爆発音が鳴り響き、屋敷が揺れ動く。
騎士団員は警戒しつつ、カーテンの隙間から外の様子を窺う。
「あれは……」
そこで見えたのは庭園から少し離れた所から煙が立ち上る光景だった。
「どうですか?」
「庭園から離れた所から煙が立ち上っています。あそこには何が?」
「確か使っていない小屋があったと思います」
「偶然とは思えないですね……」
「もぉう、どういう状況!?」
「貴方はまず落ち着いて!」
今の爆発により、場は一気に混乱に飲み込まれる。
「とりあえず我々が様子を見に行きます。皆さんは落ち着いてここで待機していてください――」
騎士団員達は編成し、複数名は例の小屋へと向かい、残りは屋敷の警護となった。
そしてティアとウィーラの二人は応接室で待機となった。
「ルビアさんどうなるのかしら?」
「ルビア大丈夫かな?」
二人はソファに向かい合って座り、ほぼ同時に言う。
「ルビアに逢えないんですか?」
「厳しいと思います。一応、被疑者という扱いなので……」
「「はぁー」」
場の空気は先程より重くなっていた。
「まだラーミル様には連絡つかないんですか?」
「ええ、一切」
「「はぁー」」
「あれ待てよ?そういえばなんでルビアが犯人扱いされたんだっけ?」
重い空気感の中、唐突にティアが呟く。
「確か第一発見者という事で……ってあれ?」
ウィーラはある事を思い出す。
「第一発見者はまず白として扱う……」
それはフカーヨス領の騎士団の決まりであった。
「えっ!?それじゃあルビアへの対応おかしいじゃないですか!!」
ティアは立ち上がり、机を両手でバンッと叩く。
「となると騎士団に問題がありますが……何か腑に落ちません」
「なら一刻も早く騎士団の人に物申しに行きましょう!」
ティアはそう言うと部屋を出ようとする。
「ちょっと待ってください!!」
ウィーラはティアの尻尾を掴み、それを阻止する。
「にゃぁーー!尻尾を掴まないでくださいよ!」
「それはごめんなさい。でも怪しくないですか?」
「何がですか?」
「ルビアさん達がやって来た日に立て続けに事件が起きるなんて、よく考えてみたらおかしくないですか?」
「まあ言われてみればそうですけど……」
「もし、一連の事件の犯人が騎士団と繋がっているとしたら?」
「えっ!?」




