第二十四話 ヘルプミ〜
ウィーラは完璧に仕事をこなすジェームズが消えたことに、ティアは父の付き添っていた人が消えたことに戸惑いを隠せなかった。
「庭園は探しましたか?」
ウィーラは慎重に問う。
「もちろん探しました。ですが見つかったのは空いた酒樽と油のついた大板だけです。失礼ですがこれはなんですか?」
「あー、ちょっとしたおもてなしを……」
「彼女が言うお父上のことですか?」
騎士団員はそう言うとティアに視線を向ける。
「ギクッ」
「そ、そうですよそうですよ」
「しかしそんな人物、聴取では誰からも聞いておりませんが?」
「「ギクッ」」
騎士団員の言ったことは当たり前だ。
今回の件はラーミルから重要案件だと判断された為、ウィーラはこの件をジェームズにしか話しておらず、庭園には誰も立ち入れないようにしていたからだ。
つまり今、この場にこの件を知っているのはティアとウィーラだけ。
つまり……
「わっ、私の父、すごい人なんですよ!」
「そうなんです。実は王国が絡む重要案件がありまして、その為に内密にルビアさんのお父上に来ていただいたんです!!」
「は、はぁ……」
圧倒的大ピンチである。
「ルビア――」
「ルビアさん――」
助けてー!!と、二人は心の中でルビアに助けを求めるのだった。
ー◆ー
時は遡り、フカーヨス邸に着いた後の事――
「こちらになります」
「おうよ」
庭園の奥に案内されたドラゴンは即席に作られた椅子に腰掛ける。
「ではお料理をお持ち致しますので、少々お待ちください」
「はいよ……」
ドラゴンは屋敷へ向かって行くジェームズを見て、ある事を思う。
「あいつ、なんか胡散臭いな」
――数分後。
「お待たせ致しました。屋敷自慢のシェアが腕によりをかけた一品です」
ジェームズは大板に盛り付けられた料理をドラゴンの前に置く。
「さんきゅー。じゃあ、いっただきま~す!」
ドラゴンは料理に思いっきり食らいつく。
「ウッマ!」
「ありがとうございます。ワインもご用意しておりますがご一緒にどうですか?」
「本当か!?頼むぜ!!」
「かしこまりました」
ジェームズは一礼すると、屋敷とは反対方向へ向かって行く。
ドラゴンは料理に夢中でその事に気付くことはなかった。
ー◆ー
そして現在――
屋敷から少し離れた古びた小屋に身なりの整った男性がいた。
男性は置いてある木箱から携帯電話のような形の機器を取り出すと、操作を始める。
「私です。そちらの進行具合はどうですか?……そうですか、では引き続きお願いします」
操作を終えると機器を木箱に戻し、小窓から外に停めてある大型トラックを見つめる。
「貴方には悪いですが、これも貴方の為です」
男性はそう言い残すと小屋を出て、トラックに乗り込んだ。




