第十八話 タイヤ痕再び
時は少し遡り、フカーヨス領北部の森林にて、一台のジープが走っていた。
「よろしいのですか。こんな少人数で?」
「ええ。この案件は王国からの指示ですが、大掛かりな物ではないですからね」
ラーミルは王国の命により、部下と共にダマキ盗賊団の拠点だったと思われる廃村に向っていた。
「ですが小規模の盗賊団の為に王国が動くとは思ってもいませんでした」
「どうやら国王陛下がルビアさんのお父様の在り方にご興味を持ったらしくて……」
ラーミルは左手で右腕を摩りながら言った。
“サライズ王国”国王ミソウ・サライズ。
平和主義者であり、国民からも慕わる国王である。
「まさか国王陛下がご興味を示すとは」
「きっと何か考えがあるのでしょう」
ラーミルはため息混じりに言った。
「団長、到着しました」
「わかったわ――」
ー◆ー
ジープから降りたラーミル達は廃村を探索していた。
「なんだか不気味ね」
「そうですね」
盗賊団の拠点だったなら本来、戦利品や死体の一つや二つあったっておかしくない。
しかしあったのは誰かがいた跡だけで、それ以上の物は見つからなかった。
「拠点だったというのはデマという可能性は?」
「いや、可能性は低いわ。情報元はあの『ウォール』だもの……」
「確かに信頼性は高いですが、なんでしょうか。この違和感は?」
「そうなのよね……」
「団長、こちらにあれが!」
すると声を荒げながら一人の騎士団員が駆けて来た。
「あれって何?」
「例のタイヤ痕です!!」
「なんですって!?」
ラーミル達はタイヤ痕の方へ向かった。
それは廃村の外れにあった。
「間違いない。あの時のタイヤ痕だわ」
ラーミルは手で触れながら言った。
「一連の事件と関係ないとは思えませんね」
「そう考えるのが妥当ね。廃村の事も大事だけど、こっちも調べた方が良さそうだわ」
「分担しますか?」
「そうね。じゃあ私とそこの二人でタイヤ痕の捜索を。残りはこの廃村を引き続き探索をお願い」
「「はっ!!」」
ラーミルと二人の騎士団員はジープに乗り込み、タイヤ痕の跡を追いかけに。
残りの騎士団員は再び廃村の捜索を始めた。
だがまだ誰も知らなかった。その光景を見据えている者がいる事に……




