第十七話 いざ、フカーヨス邸へ!
「ねぇールビア、電話鳴ってるよ」
「はいは〜い」
騒動から数日が経ち、村はウィーラさんと王国の支援により徐々に復興しつつある。実に素晴らしい事だ。
私も普段通りの生活を送っているのだが……
「もしも〜し」
『あっ、もしもしルビアさん?今って大丈夫ですか?』
「えぇ、大丈夫ですよ」
あれからというもの、毎日ウィーラさんが電話を掛けてくるのだ。別に嫌なわけではない。
話すのは世間話ばっかだから、むしろ楽しい。
だ〜が良いのだろうか?
この世界には携帯電話があるのだが、どれも高値で貴族や王族ぐらいしか持っていない。
今持っているのはウィーラさんから連絡用として貰ったものだ。
そんな高価なものを私なんかにあげて良かったのだろうか。
『ルビアさん聞いてくださいよ。今日の朝、庭を歩いていたらいきなり猫が飛び出して来て、思わず尻もちをついてしまったんですよ!』
「それは災難でしたね〜」
まぁ、彼女が楽しそうだからいっか。
それから彼女と話し始めて数十分後――
『あっ、そうでした。ルビアさん、今日は大事なお話があります』
あ、今日は本題あるのね〜。
「なんでしょうか?」
『遅くなってしまいましたが、お話の場が整いました。ですのでルビアさん、ご家族とフカーヨス邸に来ていただけませんか?』
成程〜、要するに父さんの件を解決しようということか。まぁ、対策は後でティアと考えればいいから大丈夫か。
「わかりました。ですが父さんはどうしましょうか?」
『そちらに付きましてはこちらがお迎えに上がりますので、日時さえ教えてくだされば』
「了解です。では父さん達に空いている日を聞いておきますので、また改めてご連絡させていただきます」
『承知致しました。ではまた』
「はい、また」
よ〜し、計画の為にも頑張るぞ!
「随分とご機嫌だね」
「うぉ、なんだティアか。あっ、そんな事より大事な話が――」
ティアに一連の事を話した。
「とりあえず状況はわかったよ。作戦を後で決めるのね……」
「そのと〜おり!」
「作戦ってなんだ?」
あっ、この声は……
「なんでもないよ、ライダー兄さん!」
「そうか。てかいつからそんな呼び方になった?」
「どう呼んだって良いではないですか」
私は襲撃事件の後、兄さんが帰って来た時に本名をすぐに聞いた。ど〜うやら、HB7《エイチビーセブン》ライダーというらしい。
これでは馬かどうかわからないのが残念だが、まぁ……馬だろう。きっと……
「まあ、そうだな。もうすぐ飯だ、準備するの手伝ってくれ」
「「は〜い」」
ライダー兄さんはキッチンに戻って行った。
「ルビア、お兄さんにあの事話しておかないといけないんじゃない?」
「ん?ああ、そうだな」
ライダー兄さんは留守番になるだろう。
だが彼には結構負担をかけてしまっている。たまには独りの時間を楽しんでもらうのも良いかもしれない。
そんな事を思いながらライダー兄さんと父さんに例の件を伝えた。
そしてあっという間に当日となった――
ー◆ー
私とティアは家にあった正装を着た。
私は黒のスーツ、ティアは青を基調としたドレスだ。
ちなみに父さんはそのままだが、昨日酒を強引に抜かせた。
スーツなんて前世以来か。いや、それより……
「これはこれは」
「お、大きい」
「こりゃたまげた」
ウィーラさんの迎えが来たのだがまさか大型トラックとは。
大きさはそこらのトラックより大きい。確かにこれなら父さんも乗れるがなんか、思ってたのと違う。
「えー、皆様はこちらへどうぞ」
運転手の人はそう言うと、コンテナの扉が開いた。
「「「おぉ〜」」」
そこにはきらびやかでお洒落な空間が広がっていた。
「今回の為に改造されていただきました」
ものすご〜い待遇ではないか。ウィーラさん、気遣いありがとうございます。
「いざ、フカーヨス邸へ!!」
私達はコンテナに乗り込み、フカーヨス邸へ向かうのだった。
ー◆ー
物陰からルビア達を窺う者がいた。
「やっとか。さて、俺も動くとするか……」
その者は懐から携帯電話を取り出し、誰かにかける。
「もしもし、俺だ。そっちに向かった。行動を開始しろ」
電話を切ると、今度はルビアの家に目を向ける。
「少しは楽しませろよ」
気が付くとそこには誰もいなかった。




