第十五話 バトルフェーズ③
「あんたもスキル持ちだったとはな」
「久しぶりに使うがな!」
父さんは一気に相手の間合いに入り、胸に一発……いや、五発打ち込む。
「ぶはぁぁああああ!……な、なんだこの火力はぁぁぁぁああ!!」
マッドウルフは後ろに吹っ飛び、身体中が炎に包まれる。
「どうだ?俺のパンチは火傷にご注意だぜ!」
「……はぁ、はぁ……やってくれるじゃないか……」
マッドウルフは立っていた。
その身体はたった五発の拳撃でボロボロだった。
「まだやるか?楽しませてくれた礼に見逃してもいいんぜ?」
「甘く見るなぁ!」
マッドウルフは父さんに突っ込む。
「そうこないとな!!」
二体は再び激突する。
「くッ――!」
だがマッドウルフは先の攻撃が急所に当たったのか、思うように動けていなかった。
「ふん……」
それは父さんも同じだった。マッドウルフのような致命傷は受けていなかったが、身体中にある沢山の斬り傷からは血が微かに垂れていた。
お互いが傷付いた中の攻防の真っ只中、その時だった。
「――なんだ!?」
地面が揺れ始め、亀裂が入る。
その亀裂はどんどん大きくなり、マッドウルフの所へ迫る。
「時間切れか……この勝負はお預けだな……」
マッドウルフはそう呟くと、亀裂に飛び込んだ。
「あっ、おい待てよッ!」
父さんが動こうとした時には、既に消えていた。
「……どうしたもんか?」
ー◆ー
何なんだこいつは?
ダマキはそう思っていた。
立場は低かったとは言え、元騎士団だ。それなりに実力はあったし、小さい大会なら優勝した事もある。
こんな自分の半分も生きていない少年に手も足も出ないはずがない。
ダマキは否定するかのように何度も何度も剣を振るう。
ルビアはそのいくつものの攻撃を容易く受け流す。
「ふぅ〜……」
剣を振るえば振るうほど体力は削られていき、ダマキは余裕ではいられなくなった。
だがルビアはなぜか恐怖の顔をしていたが、まったく息を乱していない。
「い〜や〜!」
変な奇声を出しながら攻撃を受け流しているだけだからだ。
そんな中、ダマキはある事に気付く。
それはルビアの狙いは自身の体力を削る事だということ。
このままでは負けてしまうとダマキは悟る。
ならば、彼が取る行動は一つ――
「逃げるが勝ちだぁー!」
「えっ?」
残った体力を振り絞って逃げる事だ。
「うぉ〜逃がすかぁ〜!」
しかし逃がすまいと、ルビアが追ってくる。
「しつこい奴だ。だが……」
追われたとしてもマッドウルフの所にさえ辿り着けば、なんとかなるかもしれない。
ただその一心でダマキは走る。
だが、それを阻む事が起こった。
「ぐへぇ〜〜!!」
ルビアが躓いたのだ。
そしてその拍子に持っていた剣が吹っ飛ぶ。
「バぁカめ!じゃあなクソガ……どぅへぇー!!」
吹っ飛んだ剣の柄がダマキの頭に直撃したのだ。
ダマキは気を失い、倒れた。
「まぁてぇ〜!ってあれ?倒れている……」
ルビアは何が起きたかわかっていなかった。
「う〜む、ティアがやってくれたのかな?」




