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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第一章 動き出す歯車
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第十四話 バトルフェーズ②

 私はダマキと言う男と剣を交えていた。


「どうした?もっと来いよッ!」


 形勢はもちろん私が優勢――


「い〜や〜!!」


 ――ではなく、劣勢だ。


 ど、どうしよう?父さんは戦闘中、ティアは情報収集中、頼りになるのは兄さんから教わった護身術だけ。


「ひゅー!」

 

 だからダマキの斬撃を受け流すので精一杯だ。


「やっぱりそれなりに強いじゃねーか。ふぅ~……だが守ってばっかりだと、俺には勝てないぜ……」


 や〜ばいよ。それにあの感じ、少しずつ飽き始めている。

 となると絶対、飽きたらすぐ殺られるパターンではないか!


 何か、何かないのか?私が勝てる方法は――


「これで終わりだぁ!」


「あ〜れ〜!!」


 ねぇは、これ。


ー◆ー


「おりゃー!」


「ふッ」 


 二体の攻防は先程とは比にならない程、激しくなっていた。


 父さんの拳はより速くなり、相手に擦れる事が増えた。

 一方マッドウルフも鋭い爪が通るようになってきた。


「やっぱ、こうじゃねぇーとな」


 父さんは拳を突き出しながら言った。


「……」


 マッドウルフはそれに答えるように爪で応戦する。


 拳と爪がぶつかり合い、互角な状態が続く。

 しかしその均衡は呆気なく崩れる。


「ここいらで一発やるか……」


「何言ってやがる?」


『パープルスラッシュ』


 マッドウルフは右腕を振り下ろす。

 それと同時に紫色の斬撃が父さんに向かって飛んでいく。


「――ッ!」


 父さんは避けれないと察し、斬撃の横に尻尾をぶつける。

 斬撃は砕け散った。


「力技とは面白い」


「結構痛いな……」


 よく見ると尻尾からは、血が流れていた。

 おそらく破片が刺さったのだろう。


「まさかスキル持ちだったとはなぁ?」


「大抵はこれで致命傷になるんだが、ここまで軽傷な奴は初めてだ」


 スキルとは上位の魔物でも一部しか保有していない、特殊能力のようなものである。


「そうか。なら、今度は俺のを受けてくれよ……」


「何?」


 父さんは拳を構える。


『ブレイズバーン』


 そう唱えると彼の拳が真っ赤な炎に包まれた――

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