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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第一章 動き出す歯車
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第十三話 バトルフェーズ①

 なんでそういう事になるの?


 騎士団の人達が目の前にいるのになぜ、なぜ!私に言うのだ!!


「俺の相手はそこのガキか?さぞ、強いんだろうなぁ」


 う〜む、なんか知らんがめっちゃ乗り気だし……父さんもっと考えて発言してくださいな。


 だが仕方ない、これも家族孝行のためだ。ここで良い所を見せてウィーラさんに好印象を与える。そうすればあの騎士団長を振り切れるかもしれない!


「ウィーラ様、この場は私に任せてもらいませんか?」

 

「ルビアさんそれは流石に見過ごせません!」

 

「……そこをどうかお願いします。私に貴方を守らせてください」 


 私は深々と頭を下げた。


「ルビアさん……わかりました。騎士団の皆さん、退却の準備をお願いします」


「ウィーラ様何をおっしゃているんですか!?あいつは元騎士団ですよ?彼に任せるのは……」


 ん〜〜。今、なんと言いました?


「彼になら安心して任せられます。ですので退却の準備を」


「……わ、わかりました。退却!」


 合図と共に騎士団の人達が一斉に動き始めた。


「え〜と、あ、あの〜……」


「ルビアさん、本当にありがとうございます。このご恩、一生忘れません」


 ウィーラさんは深く一礼すると車に乗り込んだ。                

 そして彼女らは退却していった。


「用は済んだか?」


「あっ、はい……」


「じゃあ始めるか」


 これ、もしかして死亡確定?


ー◆ー


 森の奥では二体の魔物の攻防が続いていた。


「フゥーン!」


 父さんは次々と拳を打ち込み、徹底的に攻める。

 マッドウルフは連撃を躱しながら、ただただ相手を見据えていた。


 マッドウルフはこの状況を打破しようと距離を離す。

 父さんはそれを阻止しようと、追撃する。


 しかしそれは罠。

 マッドウルフは上に飛び、父さんに向かって自身の尻尾を叩きつける。


「ぐふッ――」


 父さんはそのまま地面に倒れ込む。

 マッドウルフはそのまま鋭い爪で追い討ちをかけようとする。 

 

 だがその刹那――


 父さんは咄嗟とっさに横に転がる。そして爪は地面に突き刺さった。


「あっぶねー。お前、結構やるじゃねーか……」


 そう言うとゆっくり立ち上がり、体制を立て直す。


「息一つ上がってないのによく言うさ」


 すると今まで獣声しか発していなかったマッドウルフが、人語を口にした。


「なんだ、喋れたのかよ」


「戦いに喋りは不要だからな。それよりあんた、本気じゃないだろ?」


「あぁ、だがお互いさまだろ?」


 二体は今まで、力量を互いに探り合っていただけだった。


「そうだな……なら仕切り直して今度は本気でいこうか」


「いいぜ!第二回戦といこうじゃねーか!!」


 

 

 

 

 

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