表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第一章 動き出す歯車
12/103

第十二話 戦いの火蓋は切られる

 ウィーラは車の中で騎士団員が勇猛果敢に戦っているのを、見ていることしか出来なかった。


「これではルビアさんに顔向けできませんね……」


 ウィーラは小さく呟く。

 

 人狼の群れが奇襲を仕掛けてきた時、すぐにこの襲撃の原因が自分であることを察した。

 それと同時にルビア達に申し訳ない事をしたと後悔の気持ちでいっぱいになった。


「せめてこの気持ちだけでも」


 そう言うと彼女は両手を合わせ、祈ろうとする。


「――ウィーラ様大丈夫ですか!!」


 すると車のドアが開き、そこには黒髪赤目の少年ルビアがいた。


「ル、ルビアさん!?どうしてここに?」


 聞かずにはいられなかった。あんな事を言ったんだ、助けに来る理由なんてあるはずがない。

 

「そんなの、貴方が心配だからに決まっているではないですか」


「えっ?」


 彼から返ってきたのは思いにもよらない、温かくて優しい言葉だった。


「あっ、ありがとうございます。……ですがここは危険です!早く離れてください!!」


 しかしウィーラは今、彼の優しさを無下にする事しか出来なかった。

 自分が原因で多くの人が危険にさらされている。それにルビアにはこれ以上の迷惑をかけたくなかった。

 

「ウィーラ様、ご安心ください。あちらをご覧ください」


 だがルビアは彼女の言葉を無視し、そう促す。

 ウィーラは言われるがまま、彼の示す方へ顔を向ける。


「あれは……」


 そこには人狼を次々と殴り倒していく、所々が黒い赤色のトカゲの魔物がいた。


「私の父です」


「お父上!?大丈夫なんですか?」


「えぇ。うちの父は強いですよ……」


ー◆ー


「うぉりゃーーーー!!」


 父さんは右ストレートを打ち込む。


「ワォーーーー」


 人狼は勢いよく吹っ飛ぶ。そしてボーリングのように他の人狼が巻き込まれる。


「お〜りゃよっと!」


 次は左ストレートを打ち込む。


「ワォ――」


 今度は吹き飛ばす、人狼の頭がぶっ飛ぶ。


「よし次は――」


「――どうなっているんだ?」


 騎士団員はいきなり現れた魔物を見て呆然としていた。


「敵……なのか?」


「いや、おそらく今回の任務で言っていた例の――」


「――アウォォォォーーン」


 突然、騎士団員の言葉を遮るかのように重圧感のある遠吠えが響き渡る。


「あれは!!」


「なんだあいつ?」


 彼らの視線の先には普通の人狼よりも一回り大きく、より鋭く尖った爪を持つ人狼が立っていた。


「マッドウルフがなぜ?人狼の上位種なんてこの森には生息してないぞ!?」


「――それは俺の《守護獣》だからな!」


 するとマッドウルフの後ろから一人の男が現れた。その右腕には不気味な腕輪があった。 


「お前は、マダキ盗賊団のマダキ!」


「俺も結構有名なんだな」


「なんだ、なんだ?状況が理解できないんだが」


「簡単な仕事だと思ってたんだが、こんな誤算があるとはな……」

 

 マダキという男はそう言うと父さんを一瞥する。


「……だがこいつには勝てんだろ!!」


 その言葉と同時にマッドウルフが父さんに襲いかかる。 

 父さんはマッドウルフを力ずくで受け止める。


「これは少しは楽しめそうだ。おい、ルビア!」


「はい、ルビアです。何でしょうか?」


 ルビアは車から顔を出す。


「俺はこいつと一勝負してくる。お前はそこにいるおっさんをなんとかしろ!!」


「はい!……えっ?ちょ、今なん――」


「――後は任せるぞ!」


 そう言い残すと、父さんはマッドウルフを連れて森の奥へ行ってしまった。


「ウッソ〜ん……」




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ