第十一話 どこ!?/あのクソ上司〜
ラーミルは何が起きたのか、わからなかった。
自分に飛び掛かってきた人狼は、焦げた肉片と化していた。
それを見たラーミルは訝しみの表情を浮かべる。
「騎士団長!ご無事ですか!!」
そう言ったのは、こちらへ駆け寄って来る騎士団員だった。
「えぇ……。そっちの様子は?」
「村の住人の保護が完了しました。それにしても人狼とは厄介ですね」
「そうね。それに今回はいくつか腑に落ちない点もあるわ」
なぜか魔物を複数使役している襲撃者、なぜか本来と違う生態の魔物、そして何より……
「騎士団長、この肉片は?」
「私にもわからないわ。いきなり爆発したの」
なぜか爆散した人狼。
周りに気配はなかったし、近くに爆発するようなものはなかった。
彼女は気になって仕方がなかった。
「そうでしたか。さっき何かが飛んでいくのが見えたので、てっきり爆弾でも投げたものだと……」
「そうね、まるで爆弾でも投げ……え?今、なんて言った?」
「で、ですから、さっき何かが飛んでいくのが見え――」
「――どこから!?」
「は、はいっ!そ、そこの草むらから……」
そう言うと、彼は奥の草むらを指差した。
その草むらは人狼が飛び掛かってきた方向であった。
ラーミルは誰彼構わず、草むらに向かう。
そして草を掻き分ける。
「これは……」
そこには大きめの一筋のタイヤ痕があった。
「騎士団長、これって……」
「バイクのタイヤ痕ね……まったく気付かなかったわ……」
ラーミルはそれを一目見た瞬間、複雑な感情を抱いた。
助けてもらうことしか出来なかった自分の情けなさ、迅速に対応出来なかった自分の未熟さ、胸のざわめき……
しかし、彼女は深く考えてる暇はなかった。
「ラーミル騎士団長、緊急事態です!!」
そう言ったのは大慌てで来た別の騎士団員だった。
「今度は何?」
「ウィーラ様の乗った車が人狼の群れに襲われています!!」
「はっ!しまった――!!」
その時、奴らの真の目的が明確になった。
ー◆ー
私は今、トイレに籠っている。
おのれ〜、あのクソ上司め。
新しい人生でも私の邪魔しやがって〜〜。
てかあれ?なんで私はこんなこと考えていたんだ?
あ、あれだ、フォジュックさんが大変な思いをしていて、わかる〜その気持ちってなって……ん?
「はっ!騎士団!!」
そうだすっかり忘れていた。村に行くってなって放ったらかしにしてしまった!
彼女らなら村の安全は保証される。しかし問題はその後だ。
フォジュックさんがいるってことは必ず戻って来る。そうなれば確実に終わる!!
だがどうする。ヘタに外に出られない以上、何も出来ない。
兄さんが帰ってくるのも時間の問題……
「ルビア大丈夫?」
この声は……ティアだ!そうだ。
「ティアよ、作戦会議だ……」
「作戦……成程、そういうことね」
おぉ〜〜、わかってくれたか。流石ティアだ。
「このままでは、確実に詰みだ。何か、打開策はないか?」
「そうだね〜、例えば騎士団の手助けをするとか」
「ほう、だがもう終わっていると思うが?」
「それがウィーラさんの所に人狼が現れて、ピンチらしんだよね……」
なんという好都合。
「なら申し訳ないが、利用させてもらおうではないか!!」
「そうだね!」
それにしても彼女の情報網はどうなっているのだろうか?
事情は知っているとはいえ、まさかここまでとは彼女には驚かさせられてばっかりだ。
「後はどう外に出るかだが……」
「それなら良い案が――」
ふむふむ、面白い。一か八かだがやる価値はある。
「――よ〜し、作戦開始だぁ~〜!!」




