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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
最終章 英雄を照らす者
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第百話 二つの出発

 明けましておめでとうございます!!

 チームが結成できたので王の間に戻り、国王へと報告する。 

 報告を聞いた国王はうわずったような声で私に問い掛けてきた。


「ほ、本当によ、良いのだな?」


「え?は、はい。そうです」


「そ、そうか……」


 う〜む。イリスよ、親からも心配されているとはどれだけかね。


「ご安心ください!私がやり遂げてみせます!!」


 まぁ、なるようになるさ!! 


「そ、そうだな!頼むぞ、ルビア少年!!」


「はいっ!」


 こうして、一名国王に心配されつつも我々はセットン帝国に向けて出発するのだった。


ー◆ー


「ん……うっ、ここは…………」


 うっすらとした意識が徐々にはっきりし、ラーミルは目を覚ました。

 

「そうだ、応援を――――っ!?」


 頭の処理が追い付き行動に移そうとした次の瞬間、自身と空間の違和感に気が付く。

 

 外の状況が一切わからない臓器のように不気味な色の壁で囲まれた薄暗い空間。

 そこの中心にラーミルは()()鎖で腕を拘束されていた。


「どういう……ことッ!」


 どうにか拘束を解こうと、必死に身を捩る。

 が、鎖はびくともしなかった。


「はぁ……無理そうね……」


 拘束が解けないと諦めを付けると、記憶を整理する。


 ――確か私はフォジュックに敵を任せて……


 ――騎士団庁舎に向かって……


 そこから先が思い出せない。

 つまりその間に何かがあったということだ。


 ――――なんて情けない。


 ラーミルは自身が無力でとても惨めなことに()()()実感する。

 春からの長け続けの失態、今現在囚われの身というあってはならない状況。

 そして――


「――おや、お目覚めですか?」


 ラーミルが打ちひしがれていることなど知らず、丁寧な言葉遣いの声が割って入る。


「誰ッ!!」


 辺りを見渡すが、人影の気配はない。

 

「思ったより元気で何よりです」


 互いの空気感が対照的で不穏な雰囲気が流れる中、不気味な壁の一つが蠢き、ラーミルの前に扉が現れる。


「何?」


 思わぬ仕掛けに彼女は困惑しているとその扉が開かれ、一人の人物が空間が入って来る。


「貴方は……」

 

 全身黒ずくめの服装に鳥面。

 ラーミルには覚えがある。


「どうも始めまして。(わたくし)、レイヴンと申します。以後、お見知りおきを」


 その人物、レイヴンは丁寧な礼をする。


「王国騎士団団長ラーミルさん、お話しのお相手をお願いできますか?」

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