アクアマリン
「アクアマリン」と呼ばれる宝石がある。
直訳すると「海水」。ガラスのような光沢に透き通る青が人気なこの宝石だが、かく言う私は昔、亡くなった祖母からそれを譲り受けた。
「人には、人の。貴女には、貴女の魅力があるのよ」
祖母は生前、常々そんな事を言っていた。
しかし、現実はどうだ。
友達がいじめられて居たので、そのいじめっ子を撃退した。しかし、やり過ぎて先生やクラスメイトに悪者にされた。
高齢者に席を譲ろうとしたが、まだそこまで老いてないと叱られた。
巣から落ちた小鳥を安全な場所に移動させてあげた。翌日、小鳥は外傷も無くただ静かに死んでいた。
私のアクアマリンは、濁っているのだ。
心はくすんだ青に沈み、ネガティブな感情が膿のように広がっていく。
熱を帯びた涙が頬を伝う。それを繰り返して、人は透き通っていくのか。