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一章 四話 新たな町での生活

 村を出て3日目の朝おっちゃん達に便乗して町に入ったあと2人と別れ町の中を散策する。


 流石に100世帯も無いラムタの村とは規模が全然違い大小様々な店が並んでいる。今までは物々交換がメインだったので久々にちゃんとした店での買い物をしたいがまずは用事を済ませる為にギルドを探す。







              

「では登録が完了しましたので冒険者証(ライセンス)をお渡しします。無くした場合は再発行に金貨5枚必要となりますのでお気をつけください」


 それぞれ金貨1枚ずつ払い、商人ギルドと冒険者ギルドで登録を終え、カードタイプのライセンスを渡される。色々な機能が付いているらしく再発行が意外と高額だった。


 どんな依頼があるのかを確認しつつ冒険者ギルドを見渡してみるとあまり人がいない。


 荒くれ者や嫌味な高ランク冒険者に絡まれるどころかそもそも人がいないので暇そうにしてる職員らしき人に話を聞くと、依頼を達成したお金や商人ギルドを通したお金などはカードに貯めておく事が出来る為あまり現金を持ち歩く冒険者がいないのでカツアゲのような行為は割に合わないのだそうだ。


 カードは本人しか使えない上にお金をおろすにはギルドに来る必要があるため、脅しておろさせることも出来ない。新米の装備を奪ってもそこまでのお金にならず、捕まるリスクが高いので町中ではめったに初心者狩りのようなことは起きないらしい。


 なので朝に新しい依頼の奪い合いが終わると日中は比較的人が少なく、近場の依頼や遠出した帰りの冒険者が来るぐらいであとは夕方以降が多いらしい


 そのことに少し安心しながら張り紙などを見ていく。


 依頼以外にも他の町で起きた出来事や新種らしき魔物の情報など様々な張り紙がある。各ギルドには通信用の魔道具があり、他の町のギルドなどと情報の共有をしているとのこと。


中には魔王軍の出没情報なんてものもある。魔王の出現情報やいくつかある拠点については広く知られているものの、魔王の本拠地は未だにわかっていない。有力な情報にはお金を出すらしいがカネ目当てのガセ情報が多いのか、もしくは深入りしすぎて見つかったのか信頼できる情報はなさそうだ。


 何箇所か心当たりはあるが根拠を説明出来ないので信じてはもらえないだろうし、他の人に討伐されても困るので特に喋る気は無いが。


他にも高ランク冒険者や期待の新人など様々な冒険者を紹介している。いま1番の注目株はダーショ・オリザという女冒険者らしい。人類最強になりそうな名前だ。

 

 常時出ている討伐依頼や採取依頼は毎回受付で依頼を受けなくても現物をもっていけば受付で処理してくれるのでイケそうなのをメモしてとりあえず冒険者ギルドを後にする。


 とりあえずの用事は終わったので宿屋を探しながら店を見て回る。メインの通りはそれなりに賑わっており食べ物を扱っている店が多く、中には軒先で料理を売っている店もあり、屋台こそ少ないが食べ歩きなんかもできるようになっている。


(安くても素泊まりで銀貨3枚か、登録に金貨2枚使ったしこのままだと1月もたないな)


食費も含め少なくとも一日銀貨4〜5枚は生活費として必要な上に商売なら仕入れ、冒険者なら装備を揃えないといけない。


(やっぱり当面の間はクエストしながらの野営かな)


 採集依頼の中には距離があるものがあるのでその場合は野営になる。

 近場の依頼と報酬が同じ程度のものは効率が悪く人気がない為奪い合いになることもないので初心者にはおすすめだそうだ。希望者が少ないのでギルドの印象も良くなる。


(ソロでもマップ機能があれば比較的安全に野営できるだろうし町に戻った時だけ宿屋に泊まるようにすればお金も貯まるだろ)


 とりあえずそれなりの装備一式を揃えるまでは節約していかないといつまでたってもこの町から出ていけない。


(今日のうちに道具揃えて明日からはレベル上げと金策の日々か、他の転生者も探さないといけないし、しばらくは忙しくなるな)

 

 他の4人も何らかの形でこの世界に貢献しようとするはずだ、各地の情報を集めていれば手がかりが見つかるかもしれない。


 大きな町に行って情報を集めるほうが効率的なんだろうが、当然都会の方が物価も高いし魔物も強くなる。

 安定して魔物を狩れるなら冒険者は田舎より稼げるし、当然収入が多くなれば消費も増える為、武具等を扱う店も多くそれを求めまた人が集まる。


 しかしその分冒険者も商人も競争が激しく、伝手があれば別だが大抵は小さな町で経験を積んでからでないと競争に勝てず消えていく人が殆どだ。


 その後道具屋を何件かまわり野営に役立ちそうな物を買い揃えた。

 所持金は大分減ったが最悪野宿でしのぐことが出来るようになったのでこれでしばらくはなんとかなるだろう。


(冒険者ランクが上がって余裕ができたらイセンダに行こう)


 この町の周辺に出る魔物くらいは楽に勝てないと話にならないので半年を目安にEランクを目指していく。

 特例を除くと早い人だと3ヶ月で昇級する人もいるらしいので半年でEランクに上がる目処がたたなければ方針を考え直す必要があるかもしれない。


 色々と考えないといけないことは山積みだがこれから本格的な異世界生活が始まる。

 

 正直村を出るまでは通信技術や科学技術のない以外ほぼ元の世界の昔の暮らしと変わらない生活だったが、13年目にしてようやくファンタジー要素満載の生活が始まるとともに、本格的に元の世界に戻る為に動き始める。


 村の中と違って面倒をみてくれる人もいなければ、日々の生活が安定しているわけでもない。


 楽しいことばかりでは無いだろうし、危険なこともあるだろう。そもそもこの世界で死んだらどうなるのかもわからない。完全に死ぬのか、またあの空間に呼ばれるのか。


 だが本やテレビの中でみた物語のような冒険が始まるかと思うと興奮する気持ちが抑えきれない。


 今の自分は元の世界では考えられないような状況にいる。


 もしかしたら只の夢で起きたらいつもの日常かもしれない、死にかけてるのは本当で死に際の幻覚や妄想なのかもしれない。


 ただそれでも今自分の意識がここにある以上、今の自分に出来ることをするだけだ。


 もし夢だとしても夢から覚めるそのときまで、この世界で生きていく。

 

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