閑話 勇者リーク
「金の冒険者 リーク。彼は、悪しき魔導士『冬の王』を討滅し、グランデ王国特別拒人区『精霊の森』を氷雪の災害から救いし者。その功を認め、『勇者』の称号を授ける」
母を助け出した数日後。リビングに集まって、王宮から来た書簡を確認したら、簡潔にそう書かれていた。
「あら。じゃあこれからは、勇者、リーク様ね」
「止めてくれよ…」
ローズに茶化されたが。
俺は、あの魔導士を倒す切欠にはなったけど、ほとんど自分の力ではない。資金面はローズ頼り、魔導具の開発はイベリスが主導、そもそもキキョウが俺を鍛えてくれなければ辿り着けなかったし、アザリーがいなければ冒険者になってすぐ死んでいたかも知れない。
「いいじゃない。お母さん、リィちゃんの頑張りが認められるのは嬉しいわ」
「うん。母さんが喜んでくれるなら、貰って良かった」
「…リークさんって、お母さん大好きですね」
「うん」
反射的に返事をした。キキョウ、イベリス、アザリーが顔を寄せ合ってゴニョゴニョ話す。
内緒話はすぐに終わった。
「リークさん」
「うん」
「山奥に、今後2人きりで一生過ごさなくちゃいけないとしたら、誰と一緒がいいですか?」
「母さん」
アザリーが固まった。ローズも、カップを持ち上げたまま固まっている。キキョウやイベリスも反応に困っていた。
「むふふ」
母に頭を撫でられた。嬉しい。
「見てください。満更でもないって顔してますよ」
「いや、普通に喜んでおるぞ」
いいじゃん別に。累計5年弱しか甘えられてないんだぞ。
「と、ところでお母様。リークの周りはこれから何かと騒がしくなります。お体もまだ本調子ではないようですので、静かな住居をご用意いたしましょうか?」
「ありがとう。大丈夫よ、ローズちゃん。10年も寂しい思いをさせちゃったんだもの。お母さんもちょっとくらい頑張んなくちゃ」
「母さん。無理はしないでね」
「分かってるわよ~」
後ろから抱きしめられた。至福だ。
「母親への甘え方、五歳児で止まっておるのだな…」
「お母さんの子離れ出来なさもその辺で止まっていそうですね」
やかましい。




