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俺の俺TUEEEはヒロイン達が無理やり成立させている件について  作者: カルタ
少年時代・新人冒険者編
38/60

ダンジョン

10/11 二回目の投稿です。

 ダンジョンとは、『人・魔物・自然によって閉ざされた場所』の総称である。吹雪に閉ざされた精霊の森もダンジョンと言える。冒険者の数少ない華々しい仕事で、冒険譚にもなりやすい。


 今回はチーム『クラッシャー』に、冒険者ギルドから依頼があった。ゴブリンの巣窟となった恐れのある洞窟の調査、及びゴブリンの殲滅である。

 凶暴で知恵のある、集団になると恐ろしい魔物の討伐を依頼されるのは、俺達が積み上げた実績が信頼されるようになった、ということだろうか。


 諸々の道具を取り揃え、調査対象の洞窟の前まで来た。丘の中腹に空いた、大きなウサギの巣穴のようなところだった。


「待て待て、我輩が先頭なのおかしいぞ!?」


 自称大魔導師イベリスさんがダダをこねた。


「うん? 魔道兵器なんでしょ?」


「敵の目の前で飛び道具を使うやつがいるのか!?」


 使うけど。小石とか。


「イベリス。お前が視界から外れた瞬間に切るぞ」


「ぐ・・・。仕方あるまい」


 キキョウは、イベリスの『クラッシャー』加入には賛成してたけど、やっぱり信用したわけではなかった。


「えっと、じゃあ私が出ましょうか?」


 アザリーが名乗りを上げた。


「えっ、お主神官じゃないの?」


「神官ですけど・・・」


 アザリーがスッとメイスを取り出すと、イベリスは目を丸くした。


「3人で突撃するって言いませんでしたっけ」


「む、むう」


「行かぬなら斬るぞ」


 しびれを切らしたキキョウが剣を握りこむ。


「行く、行くから待て待て!」


 それから松明を用意して、ようやく洞窟へ突入できた。




 真っ暗闇の中を、松明の明りで足元とほんのちょっと先を照らして進んでいく。洞窟は子ども二人がぎりぎり並べるくらいの横幅、屈まなくても進めるくらいの高さがあった。


 ギルドから依頼があったのも納得だ。他のパーティーだと、屈んで進まなくちゃいけなかった。実際、俺達の中でも一番背の高いイベリスは、少し屈みながら進んでいる。


 先頭をイベリスが恐る恐る進み、その後にアザリー、俺、そしてキキョウの順。キキョウが一番最後なのは、後ろからの不意打ちが一番怖いから。


 黙々と進む。ふと、イベリスが『止まれ』のハンドサインを出した。奥の方がうっすらと明るくなっている。


 この先に空気の通る場所があるみたいだ。微かに松明が揺れている。


 イベリスが無言で俺の指示を待つ。彼女の目は、前世のネオンサインのような不思議な光沢を放っていた。

 俺は、『警戒』『前進』の指示を出した。僅かに、獣臭さが漂ってきている。


 ほどなくして、いきなり洞窟が広くなった。壁面に穴が開いて、光が入ってきている。子どもなら、そこから這って出られそうだ。

 血と獣臭さが充満していた。ゴブリンが薄暗がりに潜んでいる。押し殺した息遣いが聞こえる。睨み合いながら押し入る。


「リーク。入口から足音が聞こえる。最低4」


 キキョウが周囲を睨みながらささやいた。なるほど、一応これは罠なんだ。


 ゴブリンは人語を理解しないらしい。けど、気取られたと思ったのか、暗がりがら這い出たゴブリンは、俺達を半円状に取り囲むように位置取った。数は12。逃げたら、入口からやってくるゴブリンと挟み撃ちになる。


「ここは我輩に任せるがよい」


 イベリスの髪が、虹色に光る。波打つように、光の帯が髪を巡る。魔力の5属性の輝きが混ざったような光だ。しかし、『精霊の目』で見える魔力光ではなかった。


「なっ」


 アザリーがゴブリンから目を離して、イベリスを見た。それは明らかにミスだけど、ゴブリンもイベリスに驚いていた。


「ヒュー!!」

「ヒュルル!」


 ゴブリンたちが叫び声を上げる。イベリスは意に介さず、右目を手で覆った。『キュルキュル』という高音が鳴り響く。


「大魔導士イベリスの究極破壊属性魔導、その目に焼き付けよ!」


 柱のように太い一条の光が、半円状に広がったゴブリンを薙ぐ。イベリスが放ったものは…ビームだ!


 イベリスが目から放ったビームは一瞬で消え、ゴブリンがバラバラと倒れた。どの死体も、首や顔が焼き切れている。


「どうだ、見たか!」


 イベリスが得意顔で振り返った。髪と目から徐々に光が失われていく。正体不明の高音も鳴りやんでいた。俺は口を開いてから、言葉を探したが。


「まだ敵は残っているぞ」


 キキョウが俺達を叱咤した。もう足音と、甲高い雄叫びが聞こえている。


「もう一度使える?」


 ゴブリンが来る洞窟はおおよそ真っ直ぐだ。イベリスのビームなら、距離があっても一方的に殺せる。


「リークよ、我が大魔導の力、理解したようだな」


「そうだな。さっきの魔導はすごかった。強力な破壊属性魔導だったよ」


 破壊属性ってなんだ、という疑問は置いておく。


「そうであろう、そうであろう。『精霊の目』の持ち主であれば、きっと理解を示すと信じておったぞ」


 俺が魔力を見れる、『精霊の目』の持ち主とは一言も言ってない。いつ気付かれたのか…。


「うん、すごかった。それで残りも倒してくれ」


「ククッ…無理だ」


「はぁ?」


「一度最大出力で放つと、目から残留魔力の拡散をしなければならん。それがちょ~っと時間がかかる」


「どれくらい」


「八分日くらい」


 だいたい3時間か…。


「リーク。そのへっぽこ魔導士を見張っておけ」


 ゴブリンは、もう目の前まで来ていた。


「キュルルゴエェェ!」

「ギョッ」

「ギエェッ」

「ゲッ」

「ギアァ」


 キキョウは、剣の一薙ぎで、飛び込んできたゴブリン5体を綺麗に斬り捨てた。


「どうだリーク。我はまだ剣を振るえるぞ?」


 真顔で、何事もなかったようにキキョウは振り返った。変な対抗意識を持ってる…。


「うん…。俺が一番頼りにしてるのはキキョウだよ」


「ふっ。何を当たり前のことを」


 キキョウはニィと口の端で笑った。




 洞窟はそこで行き止まりだった。隅に動物や人間の死体が寄せ集められていたので、俺達はそこから遺品になるようなものや、硬貨を回収する。ギルドに提出して、遺族に届けてもらうためだ。


 最後にゴブリンの耳を回収して、俺達は洞窟を後にした。その後、冒険者ギルドに戻るとまたざわざわと騒がれた。どうやらイベリスは、絡んできたチンピラを魔導で撃退していたようで。

 またヤバい奴がパーティーに加わった、という話になっていた…。

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