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俺の俺TUEEEはヒロイン達が無理やり成立させている件について  作者: カルタ
少年時代・新人冒険者編
32/60

盗賊退治 一

 剣が高い。今まで全然気にしてなかったけど、武器が軒並み高い。武器屋の剣は、どんなに安くても銀貨5枚は下らない。

 そしてデカい。重い。大人の、大柄な男性が使うようなものばかりだ。


 これからの冒険者生活の生命線と考えれば、これでも安いのかも知れないけど…。銀貨5枚ともなれば、10日分の生活費。今現在のほぼ全財産でもある。それを払っても、買えるのは芯の曲がったモノや、刃こぼれし過ぎてノコギリみたいになったモノだけ。ほとんど鈍器である。

 ゴブリン討伐の時に拾った、切れ味の悪い鉈のほうがマシだ。


 武器屋の親父さんも、子どもが悪戯しないか、ギロッと睨んでいる。ここは俺には早すぎたのか…。

 結局、いつもの道具屋で大ぶりのナイフを一本買った。銀貨3枚もしたけど、武器屋の処分品よりはずっといい。扱いには気を付けるように、小まめな手入れと、研ぎに出すのを忘れないように、とありがたい助言もセットだ。


 さて、今日はカッパーの冒険者としてギルドに呼ばれている。ゴブリン討伐の後も、いくつか偶発的な討伐をこなし、いよいよ『依頼』というやつが回って来た。




 ギルドでアザリアと合流した後、カウンターで待ち構えているレッカさんの下へ。『疑わしい』と言っているような、警戒した顔で迎え入れられた。


「来ましたね」


 ひんやりとした声色。あからさまに歓迎されてない。


「こんにちは」

「こんにちは、レッカさん」


 アザリーは猫を被って、楚々と挨拶をした。


「…こんにちは。単刀直入に言いましょう。ギルドからの依頼です」


 やっぱり。期待と緊張で胸が高鳴る。


「内容は盗賊退治。全員殺して、首を持ち帰って下さい。顔は潰さないで」


 レッカさんが俺を睨む。違う、頭を潰しているのは俺じゃない。俺はアザリーを睨み、アザリーは明後日の方向に視線をそらした。


 それにしても、『殺して』か。冒険者としての仕事で殺しは珍しい、らしい。それでも、『開拓者』としての役割がある以上、盗賊や殺人者に対しての対処が求められることもある。

 治安維持といえば、各地の自警団や領が持つ軍事力が主だけど、ここはコダストの街。その役割の大半は冒険者が担っているし、手を抜けば自分たちが被害に遭う。


「カッパーになったばかりのあなたに、それほど期待はしていません。達成不可能と判断したら、正直にギルドに報告してください」


 前世と今世を合わせても、人を殺したことはない。対して、相手は凶悪な犯罪者だ。ためらったら逆に殺される。そもそも、普通に勝てないかも知れない。木剣とナイフしか持ってないし。


 断ろうか。でも、いつかは経験することだ。なら巻き込まれる形でなく、自分から覚悟を持って挑める今回の方が、条件は良い。


「分かりました。ダメそうだったら逃げてきます」


 レッカさんは顔をしかめた。余裕そうに見えたのかも知れない。


「大丈夫です、リークさん。私も神の奇跡に縋るばかりではありません。一緒に戦います」


 乙女神官とは自称だけど、確かにそのローブの下のメイスの存在を知らなければ、そう見えるのかも知れない。


「…では、詳細を説明します。奥の小部屋へどうぞ」


 レッカさんは、カウンターの向こうの、密談室のような場所へ俺達を案内した。




 盗賊の根城のおおまかな場所、人数は絞り込めている。結構、ギルドによってお膳立てがされている。相手は3人。…冷静に考えて、人数が多く、地の利もある相手に敵うのか? 今さら怖くなってきた。奇襲で1人まで減らせなかったら全力で逃げよう。


「それで、報酬の話ですが」


 アザリーがごくりと生唾を飲む。


「…首一つで銀貨2枚。三つ揃えば小金貨1枚です」


 …安くないか? 


 話を聞けば、近くの街道で強盗をしていた3人組が、うっかり殺しまでやってしまい、自警団に追われて精霊の森の近くまで逃げ込んできた、という事情で。あまり、コダストの街自体への脅威とは捉えられていないらしい。

 だからこそカッパーに成り立て、冒険者にも成り立ての俺達に依頼が回って来た。


 魔物ではなく人、しかも犯罪者。それを相手にするには小金貨1枚でも安いかと思った。でも、ギルドからしてみれば、冒険者の命の値段も安い。魔物の相手だって、いつも命懸け。なら、特別気負うこともないのか?

 …武器の値段を見たばかりで、欲が出ているのかも知れない。


 アザリーの顔はいつになく真剣だ。こっちは間違いなく欲を出している。


「質問は?」


「失敗した時の違約金は?」


「ありません。正し、虚偽の申告をした場合は、罰金や追放刑などのペナルティがあります。報告を怠った場合も同様です」


「分かりました。…アザリーは?」


「えっと…リークさんが死亡した場合の見舞金の受け取り先は…」


「特に申請が出ていないので、アザリアさんになるでしょうね」


「なるほど…」


 おい…? 後で、ローズが受け取り先になるよう申請をしておこう。


「この依頼の達成、もしくは報告後に、リークさんの認識票を渡しますので」


 外でカッパーと名乗れるのは、盗賊退治から生きて帰ってこれたら、ということか。


 その後、アザリーと簡単な打ち合わせをして、俺達は盗賊の根城へ向かった。

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