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俺の俺TUEEEはヒロイン達が無理やり成立させている件について  作者: カルタ
少年時代・新人冒険者編
30/60

凄腕の若手冒険者の噂

 『よっぱらいのゴブリン亭』の看板娘、リナリーちゃんが教えてくれた。コダストの街に、凄腕の若手冒険者がやって来たらしい。全く誰のことだろうね。


 ゴブリンを討伐した翌日。アザリーとの待ち合わせのために、ギルドへ向かう。道行く同業者から、チラチラ見られている。明らかに噂が原因だ。


 ギルドの前で、アザリーが待っていた。顔はフードに隠れていて、ちょっと絵になっている。正面に立つと、壁にもたれて舟を漕いでいることが分かった。もう昼近いけど。


「アザリー」


「ふわっ?」


 声をかけると、アザリーはビクリと体を震わせた。


「あ、リークさん」


 アザリーは、水色の目をだるそうに瞬いていた。声もかすれているような。


「おはよう。調子悪いの?」


「いえ、ぜーんぜん」


 『うえっへっへ』と小悪党のような笑い声。何かを思い出すように舌なめずりをした。


「そう、か。なら、ギルドへ入ろう」


「はい。お供させてもらいますよ…」


 いや今後の方針を決めるんだよ。




 アザリーとギルドの掲示板を見ながら話し合ったけど、ほとんど何も決まらなかった。2人とも、魔物に対する知識が無かったからだ。出来るなら、先輩冒険者に教えを請いたいところだけど、ギルドにいた先輩方はみな警戒したような眼差しだった。

 仕方なく、『エギナ草を探しつつ出会った魔物を狩る』という、ふわっとした方針だけ決まった。


 その後、魔物の討伐証明部位を入れる袋を買うために、道具屋へ向かった。。道すがら、俺はアザリーに気になっていたことを尋ねた。


「なんであんなこと言ったの」


「あんなこと、とは?」


 アザリーは小首を傾げた。桃色の髪がモフッと揺れる。


「俺がすごい戦士だと誤解されるようなこと」


「えー。嘘は言ってないじゃないですか」


「少なくとも。アザリーがメイスを隠し持っていなければ、木剣で殴り殺した、なんて誤解はされなかったと思う」


「アザリーちゃんが実は撲殺神官とかキャラ的にちょっと」


「キャラ的?」


「いやー…」


「…?」


 あからさまに視線を逸らすアザリーを、ジィーっと見つめる。店を三軒通り過ぎる間ずっとそうしていたら、アザリーが折れた。


「ご飯をね」


「うん」


「色んな人からご馳走になっていたんですよ。貧乏神殿に1人で暮らすか弱い乙女神官…ね、自慢にもなるじゃないですか。『寂しそうにしてたから、飯奢ってやったんだぜ』って」


「うん」


「でも、そんなことずっとやってると、みんな飽きてきちゃうわけで。ちょっとがっつき過ぎちゃったかなーてところもあるんですけど」


「どのくらいそんなことやってたの?」


「2年ほど…」


 そりゃ飽きられる。というか、よく2年もやってこれたな。


「というか…お金無いの?」


「無いです…」


 太陽神殿って貧乏なのかな。


「まあ信者少ないですし、裕福ではないですね。それでもパトロンはいますし、コダストの神殿にも本部から補助金は出ます」


「足りないと」


「その神殿が食つなぐにはギリギリ足りる感じです。基本、各神殿は自前で収入源を確保する感じですね」


「ポーションとか?」


「そーです。でもこの街エギナ草すっごく高いし、ギルドが大きな街にポーション買い付けるから、作ってもあんまり売れないんですよね」


 そういえば、宿の夕食も肉ばっかりだ。何の肉かは知らないけど。


「というわけで。か弱くて可愛くて可哀そうな乙女神官アザリーちゃんが、実はメイスでゴブリンボコせた、なんて知られたら、もうご飯奢ってもらえなくなっちゃうんですよ」


「うん?」


「分かってもらえましたか?」


 動機は分かったけど。


「食つなぐにはギリギリ足りるお金、もらってるんじゃないの?」


「あ。それは、その…」


 アザリーが言い淀んだ。彼女の視線は、宙をさ迷っている。


「その?」


「……お酒飲んでたら無くなっちゃって」


 ダメだこの人。


「あ、神官長みたいな目で見ないでくださいよ!」


 その神官長という人は、さぞ苦労したことだろう。


「というかお酒って…」


 この国には、子どもの飲酒を禁じる法律はない。けど、飲ませる習慣もない。アザリーは、見た目十二歳くらい。まず売ってもらえるのか…?


「あ、私今季で十七歳です」


「うそ!」


「いやあ、若く見えるんです」


 というか、成長が止まっている。ヒューマンにしか見えないけど、純エルフだったりするんだろうか。


「あ、両親は平々凡々なヒューマンですよ」


 アザリーは、俺がフードに隠れている耳の辺りを見ていることに気付いた。


「それより、そっちこそいくつなんです? 子どもの振りして、結構いい歳いってるんじゃないですか?」


 痛いところを突いてくる。とはいっても、今世の年齢は見た目相応だ。


「十歳」


 ハーフとはいえ、エルフの特徴は耳によく出てる。でも、成長の仕方は余り純ヒューマンと変わらない。


「…マジですか」


 同類と思われていたようだ…。


 道具屋のおばあさんからは、2人そろって子ども扱いされた。

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