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俺の俺TUEEEはヒロイン達が無理やり成立させている件について  作者: カルタ
少年時代・新人冒険者編
28/60

薬草採取クエスト 一

「いってらっしゃーい」


 宿から見送ってくれたのは、『よっぱらいのゴブリン亭』の看板娘のリナリちゃん(五歳)。世間知らずの俺に気を使ってくれた、いい子だ。

 リナリーちゃんと一緒にポニーテールがぴょんぴょんと跳ねる。


 まだ朝早い。リナリーちゃんに、宿の長期契約と引き換えに冒険者のことを色々教えてもらったのだけど、朝から働く冒険者は大成するそうだ。冬の王を倒す仲間を集めるためには、俺も大成しないといけないだろう。

 さしあたって、位をシルバーに上げることを目指そうか?


 歩きながら、若干固まった体をほぐす。よっぱらいのゴブリン亭は料金がメチャクチャ安いが、部屋もメチャメチャボロい。契約期間の一季が明けたら、どうしよう。お金は、銀貨が残り8枚、銅貨が2枚。バードックさんが餞別に持たせてくれた。


 八歳になるまで知らなかったんだけど、この国では8が区切りの良い数字とされているらしい。一月に相当する区切りは、一季の8分の1。これを八分季という。八分季は16日間なので、一季はおよそ260日。はっきりしないのは、その年の気候によって八分季の数が増えたり減ったりするからだ。


 お金も8で区切られる。銅貨8枚で半銀貨1枚。半銀貨2枚で銀貨1枚、銀貨8枚で金貨1枚。金貨8枚で大金貨1枚。不思議なことに、銅貨を半分に割って、銅貨の8分の1の価値である小銅貨として使うこともあるらしい。


 よっぱらいのゴブリン亭は朝食付きで1泊銅貨4枚のところ、銅貨3枚にしてくれた。八分季分の前払いで、銀貨3枚を支払ってある。全部で昼、夕食に銅貨2枚づつ使うとして、全財産が無くなるまであと八分季。意外とすぐだ。


 昨晩、財布の中身を数えながら宿賃交渉をしていたら、リナリーちゃんから『お金が無くなったら皿洗いとして雇ってあげる』と言われた。




 冒険者ギルドはガラガラだった。というより、中に1人しかいなかった。


「あ、おはようございますぅ」


 フワァッとした挨拶をしたのは、太陽神官見習いのアザリー。彼女は、俺の冒険者稼業に付き合うつもりらしい。

 水色の目をこすりながら、ヨタヨタ俺に付いてくる。


「おはよう」


アザリーは眠そうだけど、日の出から正午まであと半分くらい。前世の感覚で言うなら午前9時。神官見習いというから朝は早いと思ったけど、そうでもなさそうだ。


 挨拶を返して、掲示板の前へ。魔物の金額と絵が張り出してあるけど、ほとんど見たことがない。特に魔物の生態や特徴の説明もなく、本当に金額が分かるだけだ。

 ゴブリンは銀貨1枚と、意外と高かった。いや、武器や防具などの必要経費を考えると安過ぎなのか?


 冷静に考えて、木剣一本で倒せそうな相手はいないかも…。そもそも探し方も分からない。誰か、先輩冒険者に頼るべきだったかな。昨日の一幕があって、なんか頼み辛い。


 掲示板の下の方に小さく、エギナ草の絵と、『1籠 半銀貨1枚』と金額が書かれた紙が張ってあった。半銀貨1枚あれば、とりあえず生活は出来る。まずはこれにしよう。


「アザリー。しばらくエギナ草の採取を中心に活動しようと思うんだけど」


「薬草採取ですね、いいと思います。余ったら神殿で”ポーション”にも出来ますし」


「”ポーション”?」


「あれ、ご存じないですか?」


 エギナ草といえば、滋養強壮のスープの材料というイメージだ。


「うん。聞いたこともない」


「まあ…大怪我をした冒険者か、重病人くらいですからね、飲むの」


 まさか、切れた腕がニョキニョキ生えるような薬だったり?


「”ポーション”というのは、回復促進剤…というのでしょうか。寝る前に飲むと、怪我の治りが早くなったり、寝てる間の命を繋いでくれます。すっごく不味いし、飲み続けると中毒になるので、本当に必要な人しか飲みません」


 …なるべくお世話にならないようにしよう。


「そういえば、小さい頃は毎日飲んでたけど」


「スープくらいなら大丈夫ですよ。ポーションは、エギナ草の特定の成分を抽出して煮詰める…えっと、お薬を一度にたくさん飲む感じなので、毒に近いんです」


「なるほど…」


 ともあれ、初めてのクエストは薬草採取に決定した。

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