37.山なく、谷なく、静かに続く物語。
ヨシュアに連れられて、城内を散策する。
目を輝かせて説明してくれたり、恥ずかしがったり、
子供というのは表情が豊かでみていて飽きない。
わがままを言って騒ぐ子供は苦手だが、こう素直だと
楽しいものだ。
お付きの騎士さんも同行してくれた。
途中で貴族であろう嫌みたらしい顔をしたおっさんに
話しかけられたりもしたが、彼の説明でことなきを得た。
はじめは厄介ごとに巻き込まれず静かに暮らしたいと
思っていたのだが、今はいざとなればなんとでもできると
感じるようになっていた。
自分に力があると思うと気が大きくなるのか。
これ、過信しすぎると危ないパターンだね。
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この出会い以降、私は時々お城に顔を出すようになった。
王様やヨシュアとあって、たわいのない話をして帰る。
初めの話どおり、軍事目的の相談などをされることはなかった。
災害で壊れてしまった道の復旧や、資材の運搬等があれば
自ら進んで手を貸すことはあったが。
自分の力が人の手助けになるのは嬉しいし、大した手間でも
ないので、これくらいならいいかなと思って手伝っていた。
王様にとってはありがたいことだったらしく、感謝状の贈呈を
提案されたこともあるが、謹んで辞退した。
別に目立ちたいわけではないのだ。
親しい人の役に立って、認められればそれでいい。
そんなこんなで、数年。
森と町と王城の行ったり来たりで、あっという間に時は過ぎていった。
レミは16才になり、魅力溢れる女性に成長した。
ヨシュアもそのころには、背も伸び、声変わりもして
段々と大人びてきた。
私は、といえば少しずつ成長しているものの
見た目的には12才くらいだろうか。
どうにも幼い印象が抜けないままだ。
家の裏手の実を食べ続けたおかげか、魔力は凄まじい量になっていた。
音速を超えて移動できるし、高度も際限なく浮かび上がれる。
はるか上空から見下ろせば、国まるごとを範囲にして魔法を使うこと
だってできる。
ただ、私の魔法はあまり創造的ではない。
まとめて全てを壊すことはできるけれど、創り出すことはできない。
こうなると、もはや破壊神のようなものだろう。
ここまでできることは誰にも教えていないので、過度に怯えられている
こともないのがせめてもの救いか。
私を取り巻く、この穏やかな世界をどうこうするつもりもない。
このまま寿命まで、のんびりと生きていけたらいいなと思う。
成長が遅いということは、老化も遅い気がするが、
私は一体何才くらいまで生きるのだろうね。
そんなことを考えながら、今日ものんびりと過ごす。
二ヶ月ほどに渡って書いてまいりましたが、一旦これにて完結いたします。
のんびりとした生活を描きたいと思い描き始めましたが、物語である以上、
山場がなければ話が進行せず、のほほんとTSを描くことが目的の特段のプロット
もなかった物語は維持が難しくなってきました。
無双できる力を手に入れた彼女(彼?)は、その世界で自由にこれからも
暮らしていくでしょう。
返信願望と力への渇望は、誰しもちょっとはもっているのじゃないかと思います。
短い間でしたが、そうした世界を文章で描けたのは楽しかったです。
また、描きたいものができたら、更新するかもしれません。
あるいは、別のお話という形で。
読んでいただいた方々、ありがとうございました。




