34.かの邪智暴虐の王を除かねば。
「今日はどうしました。王都からの呼び出しとは穏やかではないですね。」
出されたお茶菓子をパクつきながら、尋ねる。
二年も通えば、初めの頃の緊張はどこへやら。
かろうじて丁寧語で話しているものの、態度は友人に
向けるものと大差ない。
「ああ。君の噂は王都にまで及んでいてね。
これまではなんなりとごまかしていたんだが、
直接呼び出しがかかってしまうと、如何ともし難くてね。」
マキタもそんな私の態度に怒ることはなく、
むしろ親しみを込めた態度で接するようになっていた。
「王都からということは、王様が私に用事があるということ?」
「おそらくは。ただ、噂を聞いたのであったみたいだけ、という可能性
もあるけどね。」
「なるほど。特段用事もないのに呼びつけられるのは気持ちはよくないね。」
私は静かに今の生活を満喫したい。
お金は大好きだが、マキタからもらった分で十分に足りている。
王族と関わり合いになると、何かと厄介なしがらみができそうなので避けたい。
貴族間の妬みとか、勢力争いによる刺客とかね。
そういったドロドロしたものとは距離を置いて、心安らかに暮らしたい。
「もちろん無理強いするつもりはないけど、一度あってもらえると助かるかな。
噂が真実だと知れば、君を敵に回すような人はいないだろうしね。」
ちょっと憂鬱になった私の空気を察したのか、マキタは苦笑してカップの紅茶を飲み干した。
「りょうかーい。じゃあ、日程の調整ができたら、また声をかけてください。
当面、ギルドには毎日顔を出すようにするから伝言をくれれば
すぐにくるよ。」
「わかった。おそらく二、三日あれば連絡できると思う。」
マキタとの会合を終え、帰路につきながら考えた。
王様に会うとなると、近辺の警護も厳重だろう。
粗相をしたら、切りつけられるかも知れない。
自分とマキタを守りつつ、何かあれば相手を抑えられるよう
万全に準備しておこう。
王様を敵に回すとなると、懇意にしているマキタやレミの家族に
危害が及ぶ可能性もある。
いざとなったら、王都ごと制圧できるよう、算段を練っておこう。
売られた喧嘩は買うのだ。
私の妄想は止まらない。
中二病気質のある元来の正確に加え、今は魔法という力まで手に入れた。
この二年間でできることは格段と増えた。
この世界の文明がどの程度かわからないが、弓矢や剣くらいなら
私の魔法でいくらでも防ぐことができる。
まぁ、王様が極悪でない限り、こんな心配は杞憂なのだが。
妄想を膨らませるのは楽しいよね。
そんなこんなで、いろんな戦況を想像し、案を練っているうちに数日が経ち、
ギルドにはマキタからの呼び出しが届いていた。




