26.領主の館へ。
「魔法を使える少女ですか。確かに当ギルドに来たことがありますが……
どうされましたか。」
「そうか。私はこのトーショ領を治める領主様に仕えるリースという者だ。
その少女の魔法について聞きたいことがある。」
「どういったことでしょう。」
「聞いた話によると、その少女は大きな荷物を小さく変えることが
できるそうだが、どうなのだろうか。」
二人の会話が展開している。
リックがちらっとこちらに視線を寄越す。
ごまかすか、ここで名乗り出るか、どうするということだろう。
今ごかましても、町で尋ねられればいずれ私にいきつく。
面倒ごとは避けたいが、お世話になった人に嘘をつかすのも忍びない。
しょうがない。はぁ、とため息をついて二人の前へ進みでる。
「リースさん。私がその少女です。マコトといいます。
どういったご用件でしょうか」
「おお、貴女がそうか。領主のマキタ様の依頼で探していた。
その魔法というのを見せてはもらえないだろうか。」
もうバレているのなら、隠す必要もないだろう。
ちょうどカバンに入っていた、圧縮ミントをカウンターに展開する。
小さな塊となっていたそれは、わさっとカウンターの上に広がった。
「なんとっ。このような魔法は初めて見た。これならば……。
マコト、突然で申し訳ないが領主様の館まで一緒に来てもらえないだろうか。
相談したいことがある。」
特に目的もない日々だ、流れに身を任せてみるとしよう。
ややこしそうなら、聞いてから断ればいい。
「わかりました。お伺いします。このような身なりですがよろしいですか。」
偉い感じ人にはとりあえず丁寧に。
そうすれば無駄に怒りを買うこともあるまい。
私なりの処世術だ。
「ああ、もちろん構わない。こちらが急なお願いをしたのだ。
そのようなことを気にさせてすまない。」
リースが申し訳なさそうな顔をする。
結構気のいい人だ。偉い人は庶民を見下しているというのは
私の偏見だったか。
「早速だが、前に馬車を待たせてある。館までは3時間ほどだが、
今すぐ向かえるだろうか。」
ふむ。今から向かえば昼過ぎに到着するくらいだろうか。
そのくらいの距離なら、帰りは飛んで帰ってもさほど時間はかからない。
特に用意する物もないし、問題ないだろう。
「ええ、大丈夫です。よろしくお願いします。」
ギルドの前には、馬車が留まっていた。
馬が二頭、それに木製の車体。ホロがついていて、雨風を凌げる作りになっている。
車輪も木製だ。
馬車の位置は結構高い。私の身長だと、足をあげてよじ上らないと無理だろうか。
そう考えていると体がちょいと抱えられ、トンと馬車に降ろされた。
後ろを振り返るとリースがいた。
「あ、ありがとうございます。」
「いや、気にすることはない。貴女には少し乗りづらい高さだろう。」
馬車の座面はお尻が痛くなるからと、クッションも渡してくれた。
馬車が走り出すと、確かにかなり揺れる。
ゴムもサスペンションもついていないのだから当然といえば当然。
こ、これは、酔いそう。
バレないように、ちょびっとだけ体を浮かせて揺れを軽減することにした。




