25. 世界の仕組み。
金の匂いで魂がとろける、誰のセリフだったか忘れたが、
私の好きな言葉だ。
パチンコ漬けだったあの頃は、金を稼ぐために金を使う、
そんな日々だった。
だが、今日の私は違う。
楽しむために、レミを楽しませるために、お金を使うんだ。
レミはいろんなお店を案内してくれた。
シシカバブのような肉を挟んだパン、
クレープみたいなお菓子、
果物を絞った甘酸っぱいジュース。
雑貨屋、宝石屋、服屋、武具屋、鍜治屋、
宿屋、レストラン………
町にはたくさんの店があった。
広場のベンチで一息ついて、先ほど買ったケバブサンドを頬張る。
大銅貨3枚だったので、300円くらいだろうか。
思う存分買い食いしても、お金は全然減っていない。
数十分で諭吉がなくなっていた遊びとは雲泥の差だ。
「そういえば、マコト。冒険者を続けるんだったら、武器を持って
戦ったりとかもするの?」
「戦うのは、あまり考えたことなかったなぁ。痛いのは嫌だし。」
「そうだよね。危ないことはしない方がいいよ。」
レミに話を聞くと、魔物の討伐や、ときには傭兵として他国と戦う依頼もあるそうだ。
そういえば、この世界の政治制度どうなってるんだろう。
「ねぇ、レミ。この国の仕組みってどんな感じ?
えーと、領主様がいるとか、王様がいるとか。」
「マコトの言っているとおり、領主様も王様もいるよ。
領主様はこの町や、近くの村や町を見てくれているの。
それで、この地方の他にもいろんな領主様がいて、
王様が国で一番偉いんだよ。」
ふむ。封建制というやつか。
こうした世界のお約束といえば、私服を肥やす悪代官のような領主が
いると相場が決まっているのだが。さて、この地方の領主はどんな人物か。
とはいえ、町のはずれの森で暮らす私には関係のない話だろう。
それから、レミと美味しかった店の話や、町の名物の話など、
たわいない会話をしながら楽しいひと時を過ごし、解散した。
帰りにギルドでお肉をもらって帰り、
家でステーキにして食べた。
ちょっと獣くさかったけど、ふんだんにコショウをかければ
なかなかいい味になった。
明日からもボチボチとギルドの依頼を受けていこうと考えながら、
眠りについた。
そして翌日、ギルドで掲示板を眺めていると、おもむろに扉が開き、
若い女性が一人入ってきた。
金髪に碧眼。髪の毛はシニヨンを結い、執事服のような服装をしている。
歳は高校生くらいに見える。
こうした世界では、執事といえばダンディーなおじさん、
女性はメイド服、というのは俺の偏見によるイメージだろうか。
女性はカウンターにツカツカと歩み寄り、リックに問いかけた。
「この町に、魔法を使う少女がいると耳にしたのだが、
このギルドに情報はあるかな?」
あー、これ、きっとややこしくなるやつだ。




