21.果物と下着と服と。
ストレスフルな現実社会。
小説の中ではストレスフリーな世界を展開したいものです。
手にした小銀貨を握りしめて、教えてもらった店へ向かう。
まずは果物屋で、野菜や果物をみる。
リンゴのような果物が目に映る。
「おじさん、この果物はいくら?」
「いらっしゃい。それは大銅貨一枚だよ。
今が旬で魔素がたっぷりで美味しいよ。」
一つ買い、噛り付いてみる。
シャクシャクとしていて、みずみずしい。
なんでも、果物等には魔素というものが含まれていて、
減った魔力の回復を補ってくれるらしい。
魔力不足を感じたら果物をたくさん食べろ、とのこと。
ビタミン的な位置付けのようだ。
魔力の上限が増えるという果物もあるらしいが、
非常に珍しいらしく、果物屋のおじさんも見たことはないそうだ。
次に入った服屋では、とりあえず下着を買っておいた。
女の子の服を買うというのは、なんとも言えない背徳感がある。
いまは女の子なので、いいはずなんだけどね。
一つで小銀貨一枚だった。
マーサへのお礼に、果物をいくつか買って、家に向かう。
「マーサ、今日はありがとう。おかげで収入の目処がたったよ。
ちょっと稼げたので、これお礼に。あとでみんなで食べて。」
「あら、美味しそうなリンゴね、ありがとう。
そうそう、これ、話していた服よ。遠慮なく使ってね。」
あの果物はリンゴでいいのか。
知っている言葉にうまいこと翻訳されているんだった。
・・・
・・・
・・・
マーサにお礼をいい、もらった洋服を抱えて、
森の家まで帰ってきた。
一息ついて、窓の外を眺めると、家のすぐ裏手に
木に茂った果物を見つけた。
リンゴを一回り小さくしたような、赤い果実。
一つもぎってみると、ぷにっとした弾力がある。
かじってみるとナタデココのような食感のみずみずしい果肉。
ほのかな酸味と、十分な甘さがあり、とても美味しい。
魔力が湧き出るような感じがする。
栄養価の高い果物だろうか。
たくさん実っているので、これを食べれば
当面の間は果物には困らなさそうだ。
家の近くには動物が近寄らないのか、鳥に食べ散らかされた様子もない。
そういえば家の周りだけ少し空気の感じが違う。
ゆるやかに魔力が満ちていて、森との境目に薄い空気のヴェールが
あるような感覚。
通りぬける時に、ふわっとした感覚を覚える場所があるので、
そこが境目なんだろう。
ひとまず、家の周りは安全そうだし、果物もあるし、
町での稼ぎ方もわかったし、これで当面の暮らしは安心だ。
今日は、仕事もしたし、買い物もしたし、
ぐっすりと眠れそう。
魔力の加減をしながらシャワーを浴びて、ベッドに潜り込んだ。
心なしか、前に使った時より少ない力で水が出せた気がする。
果物をしっかり食べたおかげだろうか。




