1.脳内ピンクニートは幼女に転生してのんびりと暮らす
「おっぱい・・・・」
JR大阪駅前、ヨドバシカメラに向かう交差点で
神楽坂誠は、ふとつぶやいた。
それは唐突にでたものではなく、常住座臥、彼の思考を
占拠している言葉であった。
中年というにはまだ若いその青年は、猫背で街を歩いていた。
中堅大学に入学したものの、大学生活に意義が見出せず、
2年で中退した。
それからしばらくはアルバイトを転々としていたものの、
ここ数年は仕事らしい仕事をしたことはない。
やりたいことはない、けれど家にいてもすることもない。
そんな時は、街中へパチンコに出かけることにしていた。
吸い込まれていく諭吉。
数時間で消えていくなけなしの財産。
すっからかんになった財布とともに、店を出た。
クーラーが効いていた店内とは打って変わって、外はうだるような暑さだ。
太陽が照りつけ、見上げれば目眩がするほど燦々と輝いている。
雑踏をかき消すほどの油蝉の声が響いている。
ビルだらけの街の一体どこに、これほどの蝉がいるのだろう。
特別な意味があって言葉を発したわけではなかった。
ただ、通り過ぎていく女性の谷間が目に入った瞬間、
反射的に口をついて出ただけであった。
人並みに性欲はあれど、風俗にいくのも怖い。
ネットで集めた動画や同人誌を見て、気を紛らわせるそんな日々。
頭の中にギャンブルと性欲が渦巻くだけの木偶の坊。
そんな自分に嫌気がさし、ふと呟いた。
彼にとってはいつものことである。
突如発せられた卑猥な言葉にもかかわらず、通行人は
気にする様子もなく過ぎ去っていく。
この街では多少の奇行など日常茶飯だ。
しかし、その日は様子が違った。
言葉を言い終えた途端、一時停止した動画のように世界が止まる。
先ほどまでうるさいほどに響いていた蝉の声も、消えた。
太陽を見続けた時のような眩しさが彼を襲う。
目の奥で、赤と青の光が入り混じる。
やがて世界はぐにゃりと転回し、彼の意識は途絶えた。
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壮大な敵も、すばらしい能力も、素敵な人間性もない、
そんなニートが幼子に生まれ変わり緩やかな生活を満喫する。
誰からも期待されない青年の現実逃避の日々から、
愛くるしい子供への転生。
心安らかな物語をあなたに。




