12.胡蝶の夢。
寝ぼけ眼で、今の状況を考えてみる。
昨日、梅田の交差点を歩いていたら目眩に襲われた。
意識を失って、目が覚めたら森の中の家にいた。
昼寝をして起きても、ツリーハウスの中だった。
昨晩、レミの家に泊まって起きても、
状況は変わっていない。
ということは、眠っても夢は覚めない。
というか、覚めない夢は、夢と言えるのだろうか。
長い長い夢を見ているのか、はたまた超常現象で精神が
どこかに飛ばされたのか。
理由はわからないが、いわゆる異世界転生的な状況に
陥っている可能性がある。
万が一、この姿で死んでしまったら、本当に死んでしまう
のかもしれない。夢か現実かはさておき、無謀な行動は
控えた方が良さそうだ。
幸い、この世界の俺は「魔法」が使えるようだ。
他の魔法についても調べつつ、手持ちの魔法も鍛えつつ、
身を守る方法を固めていこう。
・・・
・・・
「マコト、マーコートー!」
「あ、ごめん。おはよう。」
寝起きでぼーっとしているように見えたのだろうか。
レミから何度か声をかけられていたみたいだ。
「朝ごはんができているよ、一緒に食べよう!」
そう言って、レミは寝起きの俺の手を引いて、
朝の食卓へ向かった。
レミからすると、ちょっと年下の妹ができたように
感じているのだろう。昨晩から色々と世話を焼いてくれる。
「あら、おはよう。マコト。」
朝ごはんの支度をしていたマーサが声をかけてくれる。
タミルはすでに椅子に座っている。
私たちが来るのを待っていたようようだ。
「おはようございます。マーサ、タミル。」
「あら、まだそんな口調で。私たちのことは家族のように思って
もっと気楽に話してちょうだいな。」
「わかりました。いや、わかった。マーサ。」
「うん、それでいいのよ。と、それはそれで少し変わった話し方ね。
男の子みたい。」
ええ、中身は男ですから。
女の子らしい話し方・・・語尾を伸ばせばそれっぽくなるだろうか。
「そうですかー。普段はあまり人とはなさないのでー。」
「それも変ね。」
そうですよね。不思議ちゃんみたいな感じになってしまった。
女性とのやりとりが少ない現世の自分を思い出し、少し切なくなる。
レミと話すときは自然に話せていたんだけどな。
相手が子供だから合わせて喋ろうとして、こちらも子供らしい
口調になっていたのかもしれない。
「あまりに気にせず、話すよ。人の話し方なんて、
みんな気にしないだろうし。」
「まぁ、そうね。マコトはすごく綺麗だから、
余計に違和感を感じたのかも。初対面の人と話すときは、
初めの丁寧な方が自然かもしれないわね。」
なるほど。どうも今の俺の見た目は美少女らしい。
年齢的には美幼女とでも言うのだろうか。
ありがたいことだが、自分の姿をみる方法がないので、
あまり恩恵がない。
可愛い女の子は自分がなるのではなく、愛でたいものだ。




