新護衛人の実力
「じゃあ頼んだわよガンマ」
「な~んだ、結局あたしがすんのー?? 光くんずいぶんやる気満々だったのに」
「光助を無駄死にさせたくないから。あなたに頼る方が懸命でしょ? 護衛の任務についてるのだから、しっかり働きなさい」
「わかってるよーだ。じゃあ行くよ若旦那さん」
そう言うとガンマちゃんは身の丈よりも大きい槍を構えた。
「塵ひとつ残さないんだからね☆」
俺とリリアは桐島家の屋根の上で二人の戦闘を観戦した。若頭に勝るパワーで、ガンマちゃんは若頭を圧倒する。
「ガンマの魔装具【雷槍ジ・ヴォルグ】はエネルギー燃費こそ悪いけど、強力な破壊力を持っている。やる時はやる…ガンマらしい武器だ事」
「強いなガンマちゃん。本当に強かったんだ」
「まぁね。今の私達が苦戦する相手でもガンマは軽くあしらってしまう」
「…そうか」
ガンマちゃんの戦いを見ていると、自分の存在がすごく小さく思えてきた。
心核の力を手に入れた俺は必死になって強くなった。だけど、俺の力は新しく護衛人としてやって来た彼女に遠く及ばない。
俺を救う代償としてリリアは力を失った。
俺は救われた命でリリアや、リリアに救われるはずだった多くの人に迷惑をかけている。
リリアを何度も傷つけ、桐島を危険な目に合わせた。
なのに俺はのうのうと生きている。
役に立たない命なら、この心核をリリアに返した方がいいのでは?そんな結論に俺は行き着いた。
「……ちょっと光助!!」
考え込む俺の頬をリリアは強くつねってきた。
「…痛い。何すんだよ?」
「落ち込む暇なんてないわよ。ガンマが持ち場を離れてる。気を引き締めなさい」
頬の痛みのおかげで気がそれた。俺はふっと息をつく。
「悪い。ちょっと考え事してた」
「考え事?光助が?面白い冗談ねそれ」
「考え事くらいするよ。……おや、ガンマちゃん終ったみたいだな。こっちに戻ってくる」
ガンマちゃんは身軽に空をかけ屋根の上にいる俺達の元へやってきた。
「疲れた。彼だいぶ強かったな」
「お疲れガンマ。始末はできた?」
「ううん、逃げられた。ごめんなさい」
「…そう。後片付けは私達でやる。あなたは桐島さんの護衛に戻りなさい」
「はーい。ではお言葉に甘えて」
俺とリリアは桐島の家を後にして、戦闘の後片付けをした。そして家に帰った。