表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心核のキズナ  作者: 水鳥潤
天界からの刺客
38/73

ユニゾンスキル



 「……という事だけど、どうかしら?」

 「乗った、やってみよう」



 リリアの策はとてもシンプルだった。

 どでかい一撃をかます、その一点につきる。重要となるのは2人の呼吸を合わせる事。それに備える下準備は追って説明される。

 密談を終えた俺とリリアは視線をカグラ・セイジに向けた。


 「話はまとまったか? その様子だと、素直に諦めるつもりは無さそうだが。一応忠告はするが、例え力を合わせても俺には勝てないぞ」

 「勝てるとは思わない、一泡吹かせるの」


 そう言うと、リリアはさっきとは違った青色の刀を手にした。俺の持つフレイムベルと型こそ似ていたが、色の違いから対称的な印象を受ける。


 「アイスベル。私専用の外錬装具。つい先日修理が終わり、ようやく手元に戻ってきた。心核の消費が激しくて、今となれば使用制限付きの代物だけど、出し惜しみする余裕はない 」

 「外錬装具?」


 「天界の技術班が考案した人工装具の事。各個人が保有する具象装具と比べても遜色ない力を発揮するけど、心核の消費は威力が上がるにつれて大きくなる。ちなみにこれはまだ世に出回ってない試作品。少しばかり耐久には難があるけれど、性能はどの外錬装具をも凌駕している。性質は名前の通り氷」

 「なるほど。強そうだなそれ」

 「ええ。でもこれを持ってしても、カグラには遠く及ばない。2つの装具を1つに合わせる必要がある」

 「ああ。わかっている」


 俺達は互いの刀を交差させ、目を閉じて心に集中した。

 すると脳に直接話しかけられるような感覚で、リリアの声が聞こえてきた。



 (……光助、聞こえる?)



 ―――これが念話というやつか。感覚でしかできないので伝わるか不安だが、俺もリリアに続いて言葉を送る。


 (聞こえるよ。要件をどうぞ)


 (落ち着いて聞いて。フレイムベルとアイスベルは違う性質を持っているけど、元の動力は私の心核によるもの。交わらないはずがないの。2つの力を合わせればカグラにも匹敵する力を発揮できる)


 (だけど俺を助けた為にリリアは具象装具を失った。その力を発動させるには俺の協力が必要になる。タイミングを上手く合わせる必要もある)


 (ええ。心を通わせるのは心核を共有する私達にしかできない手法。これによりタイミングを計る事は容易になる。後は力を混めて強く振りきるだけ)


 (ああ。心核のキズナで結ばれる俺達なら絶対できる)


 「心核のキズナで繋がってるって……よくこんな状況でそんなくさい台詞思い付いたわね。まぁ悪い気はしないから、別に構わないのだけど」


 念話でのやり取りは問題なくできた。まるでエスパーだな俺達―――などと思っていると、リリアは笑みを浮かべながら、直接話しかけてきた。

 俺はふて腐れた顔でリリアの心に訴えかける。


 (構わないのなら掘り返すな。そう言われると、後になって恥ずかしくなる)


 (いいじゃない別に。私はただ悪い気はしないと、伝えたかっただけなのだから)


 (嘘つけ)


 (さぁどうかしら。それより、そろそろ始めましょうか?)


 (……ああ、そうだな)


 俺達は互いの刀を重ね合わせ続ける。心で対話し呼吸と鼓動を合わせ、鋭い眼光でカグラ・セイジを見つめた。



 「……カグラ。悪いけど、加減しないから」



 俺達は重なる刀を振りかざした。赤と青の光を帯びた剣撃は十字を描き、カグラ・セイジの元へ放たれた。 大地をえぐり、空気を激しく振動させる。





 「ユニゾンスキル―――その存在を忘れていた。お前が得意とする戦法の1つだったな。それを2人でやってのけるとは大したものだ」


 「そんな……嘘だろ!?」


 

 斬撃を放った瞬間、タイミングが上手く合った事を確信した。普段放つ炎よりも強力で、以前リリアが百の地底獣を葬ってみせたものと同等か、それ以上の威力があるように感じとれた。

 十字の斬撃は圧巻的だった。悪党でもないのにやり過ぎたんじゃないかと、敵対する彼の心配して後悔もした。


 しかし心配など全く無用だったようだ。カグラ・セイジは俺達が放った斬撃を一振りで切り裂いた。斬撃はより強大な力によって消失した。

 カグラ・セイジは何事もなかったような様子で、周囲に出た被害を確認しながら、俺達の元へ歩み寄ってきた。


 「結界が壊れる事を想定してなかっただろう? 俺が避けていたら、どう責任をとるつもりだった? 物損の修繕だけでは済まされなかったぞ」


 いやいや、俺はあんたの強さが想定外なんですけど?


 産まれて初めて、どう足掻いても越えられない壁が立ちはだかった。圧倒的すぎる存在の前に、俺達はなす術が無くなりその場に立ち尽くした。反撃してやろうなんて気にもなれない。


 「化け物かよ」

 「ダメだった……どうやらここまでのようね」

 「くそ。あの人の狙いは俺だ。俺さえいなくなれば納得するはず。だったら―――」

 「待って光助、私はあなたと共に生きる事を決めている。あなたが死ぬなら私も―――」

 「ばかやろう! 無駄死になんて考えるな! お前は生きろ!」

 「嫌! 光助が死ぬなら私も死ぬ! 自分の命や父の権力、なんだって掛け合いに出してカグラを説得してやる!」



 窮地に追いやられた俺達は互いの意見を主張し、自身が考える最善の策を押し付けようとした。

 俺は自分を犠牲にしてリリアを救おうとし、リリアは自分も死ぬ覚悟でカグラ・セイジを説得しようとした。

 そんな口論をする俺達の元に、カグラ・セイジは呆れた顔でやってきた。




 「……なにいちゃついているんだ。馬鹿どもが」



 カグラ・セイジは刃先を俺の目の前に向け突き立てていた。俺は唖然とした表情でその姿をしばらく見つめた。


 「……何をしている? 早く受けとれ」

 「っていでぇ!」


 カグラ・セイジは刃先を俺の頬に当ててきた。マジで刺してきやがったよこの人。最強の具象装具を雑に扱うな。

 恐る恐る刃先を見てみると、そこには指輪がぶら下がっていた。


 「……え? 何これ?」


 「合格だ。これは騎士として認められた者に与える指輪だ」


 「騎士として認める?」


 「ああ。これは特例の選考試験。俺は団長の指示により、貴様がクロスニクスのペアとなりうる存在か確認しにきた」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ