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誤解を解きました

「ほんまに、ごめんな。」

「ううん、だいじょうぶ……たぶん。」


 どうやら「このは」に強い子がいると聞いてそれが勝手に男のだと「えいる」が勘違いしていて更にその訂正が行われる事無く「えいる」は「かずき」に会ってしまったのだ。


「ほんま、ごめんな。」

「ははは、ていせいできてよかったよ。」

「うーん、ほんまかずきちゃんは、ええこやね。」

「そうでもないよ。」

「そないけんそんせんでええよ。」

「すごいね、むずかしいことばしってるね。」

「えっ?」

「けんそん、なんてことばしっているこ、わたしたちのとしだといないよ?」

「ああ、うちのばあいはとくしゅや、っておねぇ、もおにぃもいってるから。」

「へぇ……。」

「まあ、うちのことはええけど、かずきちゃん。」

「なに?」


 キラキラと輝く瞳に「かずき」は顔を引きつらせる。


「かずきちゃんのしりあいに、かわいらしいおとのこ、か、かっこええおとこのこ、おらん?」

「と、とくには……。」

「…………うぅぅ、こっちのようちえんには、うちのもえたぎる、なにかをもっている、やつはおらんし……。」

「はぁ…。」

「こうなったら、かずきちゃんとこのはちゃんを、おことにーー。」


 何か言おうとした「えいる」の後頭部に「このは」の手刀が入る。


「えいるちゃん、うるさい。」

「だって、だって~。」

「かずきちゃん、こまっている。」

「ああ、ほんまごめんなっ!」

「いいえ、きにしないでください……。」


 「かずき」は最近の幼稚園児は凄いんだと、感心するが、間違いなくこの二人が例外だろう。

 しかし、彼女にそれを指摘する人間はここにはいなかった。


「かずきちゃん、これからもよろしゅう。」

「あ、うん。」


 「かずき」はようやくここで第二の友人が出来た事を悟った。


「…………なんか、こせいてきなひとばかりだな……。」

「なんかいった?」

「なんでもないよ……あっ……。」

「どうしたん?」

「やばい……ママにだまってきたから……。」

「って、それはマズイんちゃう!?」


 目を丸くさせる「えいる」に「かずき」は顔を真っ青にさせる。

 普段はとても優しい彼女の母親なのだが、怒る時は静かに坦々と怒るものだから普通に怒られるよりかなり怖い。


「このはちゃん、なんでなんもいわんとつれてきたんっ!?」

「………わすれてた。」

「わたしちゃんといったからっ!」

「あちゃ~。」


 額に手を当て、「えいる」は溜息を吐いた。


「しゃーない、うちもいくから、さんにんであやまろう?」

「ありがとう……。」


 「かずき」は心の底から感謝の言葉を述べる、そして、この後こってりと「かずき」の母親に怒られた三人はもう二度と彼女の母親を怒らせないようにと誓うのだった…。

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