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前世の俺は攻略キャラだったらしい  作者: 弥生 桜香


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攻略キャラとの出会い5

 いきなりの黄色い悲鳴に冬牙は顔を顰め。

 和希はにこやかな笑みから無表情に。

 紅葉は殺気立ち。

 瑛瑠は冷笑を浮かべ。

 桂子は溜息を零し、黄色い悲鳴を上げる少女を睨み。

 一人状況を理解できない詩音は目を白黒させている。


「冬牙様、冬牙様じゃないですか。」

「……。」


 冬牙は少女から視線を離し、窓の外を見る。


「あー、その冷めた顔もいいですね。」

「貴女。」

「あー、和希ちゃんじゃないですか、奇遇ですね。」

「えっと、知り合い?」

「……それは。」

「違う。」

「誰がこないな阿呆な子と。」

「絶対にありえない。」

「そうですよ~。」


 知り合い、というか、因縁の仲ともいえる彼女に対し、どう説明しようと言葉を探す和希。

 バッサリと切り捨てる紅葉。

 嫌悪丸出しの瑛瑠。

 全否定する桂子。

 いけしゃあしゃあと嘘を吐く少女。

 詩音は彼女たちの反応を見てまた会わせてはいけない組み合わせが出会ってしまったのだと悟った。


「おい。」

「申し訳ありませんが私と冬牙さんは先に失礼しますね。」


 和希は冬牙の腕を掴み、少女を押しのけ去る事にした。


「ちょっと、待って。」


 少女は冬牙の腕を掴もうとしたが、寸前のところで和希はその手を弾いた。


「――っ!」

「……。」

「……いったーいっ!」


 時間が相手から少女はワザとらしく手を押さえる。


「何するのよ、和希ちゃん。」

「……日向さんは誰かに触られるのが嫌いなんです。」

「えー、和希ちゃん触れているじゃないですか。」

「……。」


 睨み合う二人に、とある三人が裏から動く。


「ねー、和希ちゃん、さっき払われた手が痛むんだけど…、冬牙様にわたしを紹介してくれるんなら許してあげるわよ?」

「……。」

「日向さん…ううん、日向くん。」

「何だ。」


 先ほどから黙っていた詩音がニッコリと冬牙と和希に笑いかける。


「この子たちは高校生だから送って行こうと思っていたんだ。その様子だと神崎さんと同じ方向なんだよね?」

「まあ。」

「えっと、東雲さんたちは?」

「駅。」

「駅方面やね。」

「あたしもよ。」

「えっと、そっちの子は?」


 詩音はニッコリと少女に笑いかける。


「わ、わたしは。」

「駅方面よね?」

「見た事、ある。」

「そやったよね?」


 がっしりと少女を掴む三人に少女は憎々しそうに紅葉たちを睨む。


「それなら、別れて帰ろうか、僕も駅の方向だしね。」

「ああ。」

「それじゃ、また、明日。」

「ええ、また明日。」


 さっさと歩き出す冬牙の後を追うように和希は小走りになって歩き出した。


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