写真撮影 準備編2
お昼になり、四人はいつものように集まった。
「ほんで、なんかゆーてはった?」
「えっ?」
唐突な瑛瑠の言葉に和希は何の話だと首を傾げる。
「瑛瑠ちゃん、唐突過ぎて和希ちゃんが分かっていないわ。」
「あっ、ごめんな。」
「ううん。」
「夏子さん、なんかゆーてたんかな?って思ったから。」
「ははは、当たりだよ。」
和希は力なく笑い、そして、三人に言う。
「今回どんなモデルか聞いている?」
「ウエディングでしょ?」
「うん。」
「和希ちゃんならよー似合うやろうな。」
「うん、絶対、可愛い、綺麗。」
べた褒めする二人に和希は若干困惑する。
「何でいつも、そう言うのかな、私は皆に比べて平凡なのに。」
「そう思っているのは和希ちゃんだけよ。」
「えっ?」
「…自覚はないのは仕方ない事だから、ほら、二人ともさっさと和希ちゃんの話を聞きましょ。」
「はーい。」
「ん。」
まるで保育士のような桂子に和希は苦笑する。
「えっと、ウエディングだから、相手役の人が必要なんだけど、夏子さんの方で準備しきれないみたいだからいい人がいないかな?とか言われたの。」
「ええ人な。」
「……。」
「いないわね。」
「いや、瑛瑠ちゃんの場合須藤くんがいるじゃない。」
「く、くぅっ!」
空也の名前を出すと瑛瑠は可哀想なほど顔を真っ赤にさせる。
「な、何でそこにくぅが出てくるんっ!」
「須藤くんくらいしか男友達いないから。」
「せやからって…。」
「駄目かな?」
「駄目ってゆーか。」
もじもじしだす瑛瑠に和希は苦笑しながら桂子を見る。
「放っておいてもいいと思うけど、そうね、後はあの阿呆教師でもいいんじゃないかしら?」
「阿呆って…。」
まだあの事を根に持っているのか刺々し言いい方をする桂子に和希は苦笑する。
「いいのよ。」
「ははは。」
「後、二人?」
首を傾げる紅葉に和希は首を振る。
「一人は夏子さんの知り合いの人よ。」
「「「……。」」」
和希がそう言った瞬間、三人は先ほどの空気が嘘か幻かと思うくらい凍り付いた空気を発する。
「えっ?」
「ねぇ。」
「和希ちゃん。」
「それって。」
「……。」
三人の纏う空気が怖くなり、和希は思わず後ずさる。
「例のあの人?」
「和希ちゃんと同居している?」
「抹殺上位。」
「ちょっと、桂子ちゃんの例のって何に対してなの、瑛瑠ちゃんのは合っているけど、く、紅葉ちゃんのは本当に何なの、ま、抹殺って。」
混乱する和希の顔は青を通り越し、可哀想な事に白になっている。
「抹殺は。」
「抹殺やよ。」
「ん。」
不敵に笑う三人に和希はゾッとする。
「あの……。」
「大丈夫よ、和希ちゃんに手を出さない無害だと分かったら何もしないわ。」
「……。」
「……。」
桂子の言葉に二名は顔を背けている事に和希は不安をあおるが、残念ながら彼女が何か言う前に予鈴が鳴る。
「えっ。」
「あっ。予鈴よ。」
「食べて、ない。」
「やっばいやんっ!」
四人は慌ててご飯を食べ、そして、各々の教室に駆け込んだのだった。




