変わった友達ができました
「かずき」は母親におねだりして護身術を習い始めた。
最初の内はなかなかうまくいかなかったが、それでも、何度も稽古を受けるうちに少しづつ彼女はモノにする事になる、そんな時、「かずき」は一人の少女と出会う。
「……。」
「……。」
「えっと……。」
目つきの鋭い少女はジッと「かずき」を見ていた。
「なまえ…。」
「えっ?」
「あなたの、なまえ、なに?」
「かずき……。」
「ん。」
「かずき」は何とかそう言うと少女は満足そうに笑うが、その表情が僅かにしか動かないので周りの人たちはハラハラしながらも遠巻きでそれを見る事しか出来なかった。
「あの……。」
「なに?」
「あなたの、なまえは?」
「このは。」
「このは…ちゃん?」
「ん、かずきちゃん。」
どうやら「このは」とう少女に気に入られたのだとようやく「かずき」は気づく。
「このはちゃんは、あいきどう、やったことあるの?」
「はじめて。」
「へー。」
「からて、けんどう、じゅうどう、きゅうじゅつ、とかはおじいさま、からおしえてもらった。」
「すごいね。」
「ん。」
「かずき」はこの口数の少ない少女が色々な武術の名前をあげた事に驚きを隠せないでいた。
「でも、ひとり、おもしろくない。」
「あー。」
「いても、わたしより、ずっと、うえ。」
確かに自分よりも年上の人ばかりだと面白くないだろうな、と「かずき」も思った、もし、「かずき」が前の記憶がなければ間違いなく護身術もそうだが、このような年上しかいない空間は耐えられなかっただろう。
「かずきちゃん。」
「なに?」
「ともだち。」
「ありがとう。」
「ともだちだから、あいてして。」
「えっ?」
「かずきちゃん、つよそう。」
「えっ?」
「もんどうむよう。」
「え、え、えっ?」
何故だか相手をしてくれとなってしまい、「かずき」はどうする事もなく「このは」と組手をする。
それから何故か「このは」に何度も組むようになるのだが、その意図が分からない「かずき」は大きくなっても気づく事はなかった。