家庭訪問…?
和希の嫌な予感は当たった。
「うち、今和希の住んどる所見てみたい。」
「えっ……。」
「見たい。」
「あの…。」
「……ふぅ…。」
「……。」
瑛瑠と紅葉の期待の篭った瞳に、どこか諦めの表情を浮かべる桂子、それぞれを見て、和希は本気で焦る。
自分の家ならば間違いなく二つ返事で返しただろうが、今回はそうもいかない。
何せ、あの家は別の人の家なのだ。
それなのに、他人である自分がその決定権を持っているはずがなかった。
「あの、二人とも。」
「ええやろ?」
「あの…。」
「家庭訪問。」
「いや、だから……。」
和希は二人が自分を心配してそう言っているのを十分理解している、だけど、今回ばかりは二人の気持ちには応える事が出来ない。
「……瑛瑠ちゃん、紅葉ちゃん、ごめん。」
「あかんの?」
「うん、私の一存では駄目だから。」
「……。」
「……。」
「ごめんね。」
黙り込む二人に和希は申し訳なさそうに言う。
「二人とも、和希ちゃんを困らせちゃだめだよ。」
「分かっとるけど。」
「不安。」
「まあ、その気持ちは分かるけど、和希ちゃんの気持ちも考えないとね。」
肩を竦める桂子に二人は渋々頷く。
「しゃーない、今回は諦めたる。」
「今回は?」
「せや、今回は。」
ニカリと歯を見せて笑う瑛瑠に和希は顔を引きつらせる。
「だって、和希ちゃんの事心配やしね。」
「ん。」
「まあ、どんな場所に住んでいるのか、少しは気になるわね。」
「ははは……。」
ブレない三人に和希は乾いた笑いを浮かべる。
「で、どうするつもりなの?」
「せやな……。」
「あら、学校帰り?」
三人には聞き覚えのない声だが、和希にはかなり聞き覚えのある声に和希は引きつった笑みを浮かべながら振り返ると、やはり、そこには夏子がいた。




