二日目の朝
和希は落ちかける瞼を何とか押し上げながら家事をこなす。
「………ねむい…。」
くあー、と欠伸をしながら、和希は目を擦る。
昨日、というか、今日、の三時くらいにベッドに寝たが、数時間後には起きて、家事をしている。
常ない眠気に和希は何度目かの欠伸を噛みころす。
幸いにも昨夜の夕食が丸々残っているので、それを朝食に回す事ができたので、昨日よりも少し遅い時間に起きる事が出来た。
と言っても、他にする事があるので、十分くらいだが、朝の十分は本当に違う。
それに、今日学校に行けば明日は土曜日なので半日で済むので後半は好きに過ごせる事が出来るので、和希はそれを励みに頑張るのだった。
手を止める事無く、着々と進めていく和希は冬牙を起こす為にあのアイテムを手にしようとして、寸前の所で手を止める。
「あっ、そう言えば、今日の講義は午後からって言ってた……。」
和希は頭を振り、本当に頭が回らない、と自分の頭を小突く。
「はぁ……。」
和希は溜息を零し、一人朝食を食べ始める。
一人で食べる朝食はどこか味気ないように感じて和希は再び漏れそうになる溜息を呑み込む。
「一人って本当に味気ないな。」
いつも誰かと食べている和希はシンと静まる室内を見渡す。
本当に人が住んでいるのかと疑いたくなる室内に和希が来てからは僅かに生活感が出てきてはいるのだが、それでも、どこか寂しい空間のように感じた。
そして、眠気によって和希の思考が変な方向に向かう。
「…ぬいぐるみでも置こうか。」
もしも、この場に冬牙が居たらギョッとしただろうが、不幸か幸いかそここには冬牙はいなかった。
「それとも……。」
次になんと恐ろしいものを口にしそうになったのか分からないが、和希は途中で言葉を止めて、アッと、言葉を漏らす。
「マズイ、急がないと。」
あと少しで登校すると決めた時間が来たために和希は残っている朝食を掻き込むように呑み込む。
「ごちそうさま。」
和希はそう言うと、すぐに次の行動に移る。
時間は有限なので一分、一秒も無駄にしたくなかった。
和希は冬牙に書置きと朝食、そして、食べるかは分からないお弁当を残し、玄関に立つ。
「行ってきます。」
黒髪を揺らして和希は学校に向かった。




