取り敢えず、一人称を変えましょう
(さてさて、どうしよう…。)
自分が女の子として再度生を受けたと知った「かずき」は人知れず頭を抱えていた。
(……取り敢えず、今は本能で動いているからいいとして、いずれ、自我というのが出来るよな…その時、完全に自分に主導権が移るのかな?)
まだ、生まれてそんなに時間が経っていないと思うが、それでも、起きて、泣いて、腹を満たして、泣いて、おしめを替えてもらって、寝ての繰り返しで一体どのくらいの時間が経ったのかなんて「かずき」には予想がつかなかった。
ただ、体はそう勝手に動いている間も「かずき」の精神は考える時間がたっぷりとあった。
その為、彼女は女の子と知った自分がどのようにするのが一番か考える。
(……お、思いつかない…。)
「かずき」は頭を抱える。
(……つーか、今の俺って自然に自分が女だって結構受け入れているよな?まあ、餓鬼だし、思春期が来たらもしかしたら戸惑うかもな。)
「かずき」は、今は体が女だが、精神はどちらともいえない状態になっていた、確かに前は体が男だったので、男だと思っているような気がするのだが、ただ、今は赤子の所為かあまり、そんな実感がないのだ。
(……ああ、そう言えば、自然と「俺」って言ってたけど、よくよく考えたら、それって拙いかな?)
「かずき」は自分が女だと考え、それで、一人称が「俺」は流石にないな、と思ったのだ。
(そんじゃ、一人称を変えるとするか。)
意外にあっさりしているようだが、それでも、「かずき」は今後の自分のビジョンを考えると早めになおさないといけないような気がしていたのだ。
(どうせ、小学校時に人と違えば爪弾きにあうし、それに、早ければ幼稚園だからな…、今の餓鬼はどんなにませてるんだろうな~。)
「かずき」はやや遠い目をしながら一人称を「私」に変えようと考えるのだった。