心配
教室に戻った和希は残してきた瑛瑠と桂子を心配するが、あの二人ならば大丈夫だと何処か信頼もしていた。
「和希ちゃん。」
「紅葉ちゃん?」
「二人、大丈夫。」
紅葉の強い言葉に和希は彼女もまた自分を心配してくれているのだと知って、自然と笑みが漏れる。
「うん、分かっているよ。」
分かっている、あの二人なら大丈夫。
だけど、いくら大丈夫だと分かっていても大切な親友なのだから心配するのは当然だった。
それを見抜いてくれている紅葉に和希は本当に自分は恵まれているのだと思って、半分胸が暖かくなり、もう半分は冬牙を思い出し、胸を痛める。
今の彼に心を許せる友達はいるのだろうか?
いるかもしれない。
でも、いない可能性もかなりある。
何せあの冬牙だ。
並みの神経の人ならば、間違いなく付き合いきれないだろう。
「和希ちゃん?」
「あっ、ううん、何でもない。」
心配そうにのぞき込む紅葉に和希は慌てて頭を振った。
「……。」
何か思案する紅葉はポツリと呟く。
「……潰す。」
(何をっ!)
物騒な事を呟く紅葉に目を剥く。
「和希ちゃん、心配、ない。」
「いやいやいや。」
和希は慌てるが、不幸にも本鈴が鳴る。
「次、数学。」
さっさと席に戻る紅葉に和希は肩を落とすのだった。




