打ち上げ
「本日は弊社の撮影にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、乾杯っ!」
「「「「「「「「乾杯っ!」」」」」」」」
夏子の音頭に合わせ、グラスがぶつかり合う。
「あーあ、皆成人してたらお酒でも飲めたんだけどね。」
「仕方ないですよ、半分以上は未成年なんですし。」
夏子の言葉に詩音は苦笑する。
「あー、くぅ、そっちの料理取ってくれへん。」
「おお、あっ、瑛瑠。そっちのくれ。」
「オッケーや。」
和希は騒がしい雰囲気に笑みを浮かべる。
「和希ちゃん、楽しそうね。」
「桂子ちゃん、うん、まさか、こんなになるとは思わなかった。」
「そうね。」
「あっ、帰り、一緒に帰ろうね。」
「ふふふ、ありがとう。」
和希の言葉の意味を悟った桂子はくすくすと笑う。
「和希ちゃんが来てくれるのなら、安心ね。」
「そうだといいんだけどね。」
「大丈夫よ、お父さんは和希ちゃんには甘いもの。」
ウインクをする桂子に和希はそうだったらいいな、と思いながらオレンジジュースを飲む。
「あっ、夏子さん今日の和希ちゃんの写真頂けます?」
「いいわよ。」
「えっ、ちょっと、桂子ちゃん、そこ普通自分の写真じゃ。」
「間違っていないわよ、和希ちゃんの写真を家宝にしないと。」
「あっ、うちも欲しい。」
「欲しい。」
「ちょっと、瑛瑠ちゃんも、紅葉ちゃんもっ!」
勢いよく手を上げる瑛瑠と目を輝かせている紅葉に和希は慌てる。
「通常運転だな。」
「……。」
「…………。」
和希は視界の端で、立ち上がった冬牙を見て、同じように立ち上がった。
「和希ちゃん?」
「ごめん、少し出るね。」
「……。」
和希は謝って出ていくが、女子メンバーはそれを面白くなさそうに見送った。
「いいのか?」
不思議そうな顔で言う千時に三人は同時に彼を睨む。
「よくない。」
「めっちゃ、腹立つわ。」
「和希ちゃんを傷つけたら簀巻きにして海に沈めてあげるわ。」
「「「「……。」」」」
「ははは、あんたちサイコーね。」
絶句する男性陣、豪快に笑い飛ばす夏子、何ともカオスな状態になっていたのだが、和希はそれに気づくことなく、冬牙を追った。




