和希復活
「ええかげんにしいやっ!」
「和希ちゃん、解放してっ!」
「貴方が和希ちゃんをかき乱すなんてやめてよね。」
「……。」
女性に囲まれるのはきっとそう少なくはない冬牙だろうけど、こんな囲まれ方はきっと初めてだろう。
戸惑っている彼に和希は顔を青ざめ、四人の間に割り込む。
「ちょっと、瑛瑠ちゃん、紅葉ちゃん、桂子ちゃんっ!」
「……。」
「和希ちゃん。」
「しくったわ、もう戻ってきたの。」
「もう、皆反省してよ、すみません、ひ……冬牙さん。」
「……。」
和希が冬牙の名前を呼んだ瞬間、その場はしんと静まり返る。
刹那。
瑛瑠、紅葉、桂子の口から悲鳴が上がり。
冬牙は一瞬呆気にとられるが、口元をゆがめて笑った。
「行くぞ…和希。」
「はい。」
和希は冬牙の後を追うが、すぐに足を止めて、三人を見る。
「ごめんね、三人とも心配してくれたのは分かっているのよ。それはありがとう。でも、冬牙さんは悪くないの。」
「「「……。」」」
意気消沈している三人に和希は外野の男性陣を見て苦笑を浮かべ、身を翻した。
今彼女が優先するのは撮影だ。
彼女たちのフォローはあとでさせてもらう、だから、今は他の人たちに託すしかなかった。




