ちぐはぐな二人
「……。」
「……。」
「あんたらね。」
先ほどの面々がマシに思うぐらい二人はぎこちなく、流石の夏子も呆れる。
「冬牙がこんなのはまあ、予想していたわよ、でも、和希ちゃん、貴女はどうしたのよ。」
「すみません。」
苦虫を嚙み潰したよう顔をして和希は顔を歪める。
「……せっかくの和希ちゃんの晴れ姿が台無しね。」
「殺す。」
「せやね…。」
物騒な言葉を吐く三人娘に。
「こえぇ…。」
「なあ、須藤こいつら、いつもこうなのか?」
「通常運転だがな、お前ら、教師である俺の前で物騒な事を言うな。」
「いや、教師の前に人の前で言うのはまずいですよね。」
四人の男性陣はたじろいでいた。
「…………………少し、頭を冷やしてもいいですか?」
「スタジオ内でね。」
「はい。」
和希はこれ以上ここにいたら足を引っ張るのが目に見えてわかっていたので、自分から休憩を申し出た。
「和希ちゃん。」
「ごめん、少し、一人にしてくれる?」
「……。」
「せやけど。」
「分かったわ。」
「ありがとう、桂子ちゃん。」
桂子の言葉に和希は弱弱しく微笑む。
「待っているわね。」
「うん、行ってきます。」
和希を見送り、瑛瑠は恨みがましそうに桂子を見る。
「何で、あないな、和希ちゃんを放っておくんや?」
「あれはそっとしておいた方がいいわ。」
「でも。」
「それよりも、あたしたちはあっちに文句を言いましょう。」
桂子はまるで親の仇を見るように冬牙を睨んだ。
「…せやね。」
桂子の視線の先の人物を見た瑛瑠は黒い笑みを浮かべる。
「賛成。」
紅葉は近くに置いてあった棒状の道具を掴み、素振りを数回する。




