純白の花嫁
「……。」
和希は鏡に映る自分を見て目を見開く。
薄く化粧をした顔は可愛くなっている。
「うん、流石、プロだ。」
「なんでや、和希ちゃんっ!」
「和希ちゃん、元がいい。」
「いや、でも、私普通だよ?」
「あかん、和希ちゃん……。」
「強敵。」
和希の言葉に二人の突っ込みは追いつかなかった。
「それにしても、Aラインなんだね。」
和希はくるりとその場で回り、鏡で可笑しいところがないかを確認する。
「それにしても、そのベールかわええね。」
「ん。」
「うん、皆綺麗だったけど、これはすごいよね。」
「あら、ありがとう。」
「えっ?夏子さん?」
「いつの間にっ!」
「ぬらりひょん。」
「ちょっと、紅葉ちゃん、人を化け物にしないでくれるかしら?」
流石に紅葉に化け物の名前を呼ばれ、夏子は少しいらだったような顔をしている。
「えっと、何で夏子さんがお礼を?」
「それはわたしが結婚した時に使ったものなのよ、是非和希ちゃんに使ってほしいからと思って持ってきたのよ。」
「えっ!」
和希は顔を引きつらせる。
「あっ、別に汚してもいいのよ、記念にって持ってたけど、思ったより邪魔だったのよね。」
「邪魔って。」
「だって、普段は使わないし、人に貸すようなものじゃないからね。」
「それはそうですけど。」
「和希ちゃんなら大切にしてくれるだろうかね。」
「……。」
「さて、和希ちゃんのお相手さんの準備も終わったしそろそろ行きましょうか?」
「はい。」
正直冬牙がどんな反応をするかは和希には分らなかったが、それでも、彼女は決心したような顔をして、前に進む。
胸を張って歩き出す彼女は凛として美しく、この場にいる全員が眩しそうに彼女を見ていた。




