幕間・本番 桂子 前編
「さて、瑛瑠ちゃんは須藤くん、紅葉ちゃんは叶谷さん、さて、あたしはどうなるかしらね。」
桂子はおっくうそうなため息を零す。
「まぁ、和希の相手はあの男でしょうし、つまりは…あの二人のどちらか、というのが普通だけど……、あの夏子さんですから、それはまずありえない。」
「あったり。」
「……。」
桂子のい独り言をいつから聞いていたのか分からないが、夏子は最初から聞いていたかのように彼女の隣に立っていた。
「夏子さん。」
「貴女の番よ。」
「でしょうね、和希ちゃんはあと少しで終わりますよ。」
「うん、思いっきり可愛くしてもらうように言ったから、楽しみよ。」
「あたしたちもですよ。」
「それにしても、長袖のドレスを選んだのね。」
「ええ、皆違うものを選びましょうと話はしていましたから。」
「そうなのね。」
「はい、瑛瑠ちゃんは始め前がミニ丈のドレス、その次にスレンダーライン。
紅葉ちゃんはマーメードライン、着物のアレンジもの。
あたしはエンパイアラインと長袖。」
「和希ちゃんは彼女が選んだの?」
「いいえ、あたしたちが選びましたよ、まあ、どの種類にするかは満場一致でしたけど。」
「そうなのね、楽しみだわ。」
「あたしも、和希ちゃんのは楽しみだわ。」
「あら、それ以外は楽しみじゃないの?」
「このすぐ後の苦行を考えたら億劫でしかないです。」
「はっきり言うわね。」
「こういう子は嫌いですか?」
「いいえ、大好きよ。」
桂子と夏子は互いに顔を見合わせ笑う。
「さて、花婿さんたちが待っているようだから、行きますか。」
「これが終わって、貴女が着替え終わったら和希ちゃんの撮影が始まるように調整しているわ。」
「それを聞けて安心しました、あたしだけ、和希ちゃんの艶姿を見れないんて拷問もいいところですからね。」
桂子の言葉に夏子も同感ねと頷く。
「それじゃ、行ってらっしゃい。」
「ええ、行ってきます。」




