奇跡の大地
そして優たち3人達はというと
(喉がかわたなー)
あれから2日。
どこまでいくんだよ!とお互いの意識を保つためにやっとの思い出声を絞り出す3人。
ここは遥か彼方の地平線、雲、山々、川、湖が一望できる3000m上空
現在わしずかみにされたままワイバーンンによって上空を巡航している。
(この3日間でさー、水死、餌死、そして、今乾き死、あの猫死ぬこともあると言っていたけど普通だったらもう死んでるよねー)
と涙を出し尽くし、ミイラのようにげっそりした顔で2人に問いかかる優。
(いや、むしろ死神が微笑んで俺たちの背中にしがみついているように見えるんだけど?なにこれ?)
おい!しっかりしろアキラ!)
アキラが2人に安らかな笑顔で(おれの旅はここまでだ、あとはまかせた)と言わんばかりに、無言でこちらをみている。はっきりいって気持ちが悪い。
そんな事をやっているうちに、どんどん高度が下がってくる。雲を突き破り2000m上空まで下がると、なにやら目的地だと言わんばかりにまっすぐにそこに向かう。
長さ5キロほどのひょうたん型のクレーターがあり、下の楕円形の丸は直径2キロ、上の楕円形の丸は1.5キロほど。淵は標高500mはあろうかと思う絶壁が直角にそびえ立つ。クレーター内部というと、下の楕円形型の丸は絶壁の縁まで湖が広がり、上の楕円形の丸には草原と森が広がっていた。
(どうやらあそこに向かっているみたいだ)
とさきほどまで、土気色の顔で口から白いモヤのような物を吐き出していたアキラが急に我に帰る。
(なにがあるかはついてみないとわからないな)
と目を細め思考をめぐらす優。
(何度も消えかけた命、いまさらなにがあってもおどろきはしないぜ)
と不安を押し込むように元気に言葉を出す木村。
そして地上1000m 500m 300m、地上が近づいてくる。
そして30mほどになった時、3人のかたにある圧力がふっと消える。
(この糞とかげ!)
嘆きながらいきなりわしずかみを解除させたワイバーンにむけて叫び急降下する3人。
(ザバーン)!!!
落ちたところは湖であった。
いきよいよく水中に投げ出され悶え苦しみながら顔をあげ,目の前の岩場にしがみつき、なんとかよじ登り崖のテラスになっている部分にたどりつく。
(おい周りは安全か?)
木村が膝を付きながら2人にといかける。
(今のところ危険な要素は確認できない)
アキラが周りを見渡し状況を判断する、廻りは先ほどのひょうたん型の下部。見渡す限りの湖、それを覆う500mはある絶壁の部分にいる。
(おい!洞穴みたいのがあるぜ)
肩で息をしながら木村が二人に問いかける、後ろを振り向くと、そこには奥行はなさそうだが、縦2m横2mの洞窟があった。
(とりあえずもうすぐ暗くなから、この洞穴に身を隠そう)
と、2人に支持する優、洞窟内部は暗くてよくわからないが、奥行きはかなりありそうだ。周りはゴツゴツした岩に覆われ、岩の隙間からは湧水がしたたっている。3人は洞窟に5m程入ったところで身を休ませる。
(まずは、今のところ危険はない、でも、ここにつれてこられた意味は必ずあるはずだよ、その意味を今の材料では答えは出ない)
と、体力の限界で冷静な思考回路がまわらない自分を戒めるように優が言葉を二人にかける。
(ちょっとまった!とりあえずこのまま交代で休まね? もうさ、なんだか、色々ありすぎてさ、、笑えてくる)
涙目で必死に笑い声をこらえる木村。
(そうだな、、、、笑えてくる)
木村の言葉が誘い笑いになりアキラも必死に笑い声をこらえる。
(くっくっくっ、、もう無理)
優は盛大に笑い出す、我慢していた2人も盛大に笑い出す。
未知の領域で、しかも、さっきまで死神に抱きつかれながらありえない体験をしてきた3人はこの笑い声でまた危険な状態になるのをわかっていながら笑いが止まらない。
実に不謹慎な状態が数分続く。
(もういいや!おれ寝る!)涙目を擦り2人に宣言する木村
(そうだね、なんだか考えるのもつかれた、ひとまずねることが今は重要かもね)
と木村に便乗する優
(おいおいお前らが寝たらおれが見張りやくかよっ!)
ため息を付きながらアキラが二人に言葉を投げる。
(まいっかっ お前たちはおれが守る、、、、、、、、)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
太陽らしき光が空を青くする、頬をくすぐりながら通り抜ける湖からの風
大の字で豪快ないびきをかいながら睡眠に没頭している木村。
(ふん!おまえらごとぎか)と眉をひそませ、なにやら違う一面を覗かせぶつぶつつぶやいている優。
見張り役のアキラといえは、木に背もたれ、あぐらをかき、鋭い目つきで、、、、、、、、、、、寝ている。
ピチュンッ)湧水のしずくが、ほほにあたり目を覚ます木村。
(ここは?ああそうか、そうだったな)
と昨日までの現実を振り返り木村は目を覚ます、そして隣にいた優に
(おい!おい!)と優の肩を揺する。
(ここは?ああそうか、そうだったね)
木村とまったく同じ言葉を発する優。
既に太陽らしき光は天高く光を放ち、真昼になっていた。
(そういえば、交代で休むと言っときながら爆睡してしまったな)
昨日は、さっさと寝てしまった事に木村が反省をしつつ、
木を背にもたれて、いまだ鋭い目をギラつかせたアキラに言葉をかける。
(ごめんお前一人にまかせてしまって)
返しの言葉はない、、、
(こっこれはお前たちを守るといっときながら)と木村が優と目を合わす。
10分後
ピクリ肩を震わせ目線だけをあたりにくばり、(寝そうになった!)呟くアキラ
(おいおまえら起きろ!いつまで寝てんだ!)
ふあーとあくびをしながら二人は慈愛の眼で目を覚ます。
その頃
(今日もいいのがとれましたなー)
(そうですなー今年は、ほうさくですなー)
なにやら緊張感のないゆるいかいわがとある村にこだまする。
ここはクレーターの中心部、ちょうどひょうたん型の中心部幅300m程のくびれ部分である。
そこには、それなりの村があり簡単な策で覆われている木や石で出来た建物が数十棟建っている。村の東西は絶壁の壁になっており、村のすぐ南側には高さ20m程の崖がある。その先は広大な湖がクレーターの隅々まで広がっている。
村のすぐ北には、草原を経て、縦横50m程の天然の大温泉がわき出ており、その東側500mの所には霧で覆われた沼がある。
更に、その北側は広大な森が広がっている。そしてその森の最北端に、一年中、次からつぎへほぼ無限に奇跡のやしという直径50㎝程、ラグビーボール型の果実がなる場所がある。
奇跡のヤシは調理の仕方次第、焼けばジューシーな脂がのった高級牛肉風、蒸せば外はもっちり中はジューシーな小龍包風、さらに、絞りたての果汁を酒蔵にいれ発酵させれば、アルコール度30%の口に入れた瞬間芳醇な甘味と酸味が広がる果実酒になる。
そして、皮は強度の高い繊維で出来ていて、村人の服や靴などに使われている。ここは、絶壁に囲まれた、外敵も無く、食べ物にも困る事のない、平和なユートピア、村人はここを、奇跡の大地と呼ぶ。
(長老!長老!また昨日ワイバーンが人間を連れてきました!)
(おおそうか!またこの奇跡の大地に選ばれた幸せな仲間が増えたな!実にめでことじゃ!)
年に数人ここに運ばれ集まった村人たち、最初に運ばれてきたのがこの老人、人々からは長老と呼ばれている。家族との生活を突如引き裂かれ、ここに連れてこられた人々は身寄りもなく、孤独であったが、おなじ境遇の立場の人々と、すぐに溶け込み、村は秩序の保たれた人間関係を築いている。
その頃、優達3人は、途方に暮れていた、、、
(3キロはあるんじゃないか?あそこまで、、、)
遥か彼方に見える岸の上の村らしき光景をみながら木村が肩を落とす。
(周りは絶壁だぜ、泳ぐしかないのか、、、、)
(ここにいてもどうしようもないから、みんながんばろ!)
調度、流れ着いていた長さ3m程の流木につかまりながら、3人は横一列になってなんとか村のすぐ後ろのがけまで泳ぎ着く。泳ぎ着いた場所には、岩を削って階段のようになっていた。3人はそこを10m程登りきり、草原の更地に大の字になり横たわる。
(体力の限界!)
(まだよゆうそうだな)
(やっとついたね)
3人は肩で息をしながら、廻りの警戒を横に置いといて呼吸を優先させる。
(ご苦労様でしたー)
(!!!)
(ようこそ、奇跡の大地へ)
3人はガバッと起き上がり声のする方へ、目を向ける。するとそこには、身長150mm程、髪色は黒髪、黒目はパッチリで小顔、出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込む、見たことのない民族衣装の様なものを身にまとった。童顔美女がこちらにむかって微笑み、語りかける。
(あやしいものではないのですー!私はあなた達と同じく、ワイバーンに連れてこられ、それ以来ここで暮らしているのですー!)
(、、、、、、)
体力の消耗しきった体では、話を聞くのに堪えがたいテンションで3人に話しかける。
(あれ?言葉がわからないのかなー?私のかわゆさにびっくりしてい(おいっ!ここはどこだ!)はう!!)
人差し指をほほにあてながら???のマークが頭上を頭上に浮かばす少女の言葉を遮りアキラが問いかける。
(どこだときいている!)更にアキラが問い詰める。
既に涙目になっている少女に対し、優が優しく問いかける。
(ごめんね、僕たちは怖くないよ!そうだよ、かわいいきみにびっくりしていたんだ!それでね、ここはどこなんだろうね、僕たちはそこがしりたいんだ!)
アキラを一瞬、一瞥しながら涙をぬぐい笑顔になる、どうやら機嫌は元に戻ったようだ。
(ここは、奇跡の大地だよ、ここに住む人は誰かさんと違ってみんないい人で、誰かさんとちがってみんな優しいんだ。とりあえず、疲れておなかがすいたでしょ!ごちそうを用意してみんながまっているからついてきて!)
(ははっすっかり嫌われたな)と肩をたたく木村
村に着くまでに、少女から色々な村事情を聴いた3人。アキラの問いには答えずにいたが、優と木村が場を和ませているシーンなどが途中途中に見受けられた。気が付くと、そんな4人のすぐ目の前に村が近いてきた。そして、一番手前には白髪、白髭の老人が立ち、その後ろには老若男女の人々が100名程、3人を歓迎しているそうだ。
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まもなく3人は広場に案内される、中央にキャンプファイアー用の巻が大量にくべられ、それを中心に老若男女の人たちが、テーブルと椅子には見たこともない豪華な料理が数十皿、さらにおおきな酒樽らしきものが数十個つみかさなっている。そしてその人の中から一人の老人が歩をすすめ歩み寄ってくる。
(話は聞いたじゃろ?まずは君たちを歓迎し今日は宴とする!)
(みなものもよういはいいか)と体をくるっと反転させ、数十名の人たちに向けていいはなつ
宴は朝方まで続いた、それから3日後、、、
優たちは、今ここで知りうるいろいろな情報をあつめ終わったところだ。
(危険のない極上な生活ができるユートピア、しかし60年しかない歴史と廃墟の村、なんか腑に落ちないよなー)と二人にといかける優
今一番長生きしている長老がここにきて60年、長老が来る前は町も人も何もない環境だった。それと、村の人たちは気が付いていなかったが、霧で覆われた沼地のすぐ横には、廃墟の村があった。村人たちは沼には、気味悪くちかずかなかったので、存在を知ることはできなかったのだ。
(とりあえず60年以上も今のままでいるということは、今日明日になにかがある確率はかなりひくいだろ)
と、心配性の優に対して、心配をかける言葉はいうべきではないと判断するアキラ。
(今日は、もうすぐ日が暮れる!温泉にでもはいって明日かんがえようぜ!)
と、その場の空気を遮るよう2人に言葉を渡す木村
(そうだなまずは風呂風呂!)っと遮った空気をそのままに優が明るく声をかける
そんな日々はいつまでも続くことはなかった。
ここは朝焼けが空をオレンジ色にして、周りの木々や遠くの山さえも、モルゲンロードの神秘的で壮大な景色が広がる大浴場、もうもうと湧き上がる湯気が暖かく3人の身を包み込んでいる、
(しっかしデカイおんせんだよな!)
それとこのもはやこの世のものではないすばらしい眺め)
(村の女もここに入っているから美肌なのか?)
で朝日の上がる前、誰もいないこの時間をみはからって、ヤシの実を食べながら、だらしない顔をして会話をしている3人
(そういえばさ、この村ってみんな若干ポッチャリだよなー)
と湯から上がり大の字で岩の上に寝そべりながらいう木村
(多分あれだろ、なんのストレスもなく、旨い酒と旨い料理をたべまくっているからだろ、あいつらを食材としたらAランクかな!)
と湯に仰向けに浮かびながら、冗談をいいはなつアキラ。
、、、、
しばらく沈黙する3人。
(まさかね!)不安を押し隠す優。
そんな会話を続ける3人の周りを違和感が襲いかかる。
まずは空をながめていたアキラがいう
(なんだか空が、やけに赤くなってきたな)
その言葉に2人は空を見上げる。
(そうだな、朝焼けにしては赤すぎる)
(おいおまえら湯の色がおかしいぞ)
と岩の上から見下ろし二人に言い放つ。
(あれ?反射して赤いのかな?いや赤ずぎるぞ!)
すこし舐めてみるアキラ。
(!!おい!間違いないこれは!)
と驚きの表情で優の目をみる。
優も人差し指で救いなめてみる。
(は?これは?どうして?)
二人の表情がみるみる青ざめていく。
(こ、これは!)
(血だ!)
そしてなにやら生臭い匂いがあたりを包み込んできた瞬間
!!!!!
シュワーっと温泉の池中央部が光始める。
(まずいよ、とりあえず服を着よう!)
本来ならばそれどころではない状況なのかもしれないが、2人に指示をする優。
3人が着替えをしている間に光のそれはどんどん光度と大きさをましていく
その大きさが半径20メートルしたところで、
(バッシュッ バッシュッ ババババババッシュッーッ!)なにやら黒い物体達が勢いよく空へ噴出して、一瞬上空で旋回したと思ったら一直線で村の方向へ消えていく。
とっさにスキルを発動していた優が二人に説明する
(ね、よく聞いて、今スキルを発動させ飛び立つ黒い物体の一匹を捉えた)
名称:ラビットドラゴン(竜)
コスモス量:380
HP:3250
MP:1600
力:2200
素早さ:7000
知力:1020
攻撃力:B
防御力:B
スキル:星蹴(ランクC)
総合ランク:B