転生そして、早速
(おい!うまいな!これいくらでもくえるぞ!)
(木村くいすぎ!)
(どんな調味料をつかっているのかな?)
(食べろ優、待ち合わせ時間におくれる!)
3人は30帖はあるダイニングの部屋の円卓で朝食をとっている。
円卓の上には、鳥の丸焼料理、山のように積み重なった焼売、10センチはある肉厚ステーキ、光り輝く山盛りご飯、とれたてのサラダ、その他、肉、魚、飲茶、スープなどが20品ほど並べられている。
(お味はどうですか?)
ウェイターのひとことで言うとジェントルマン風の男が優たち3人に尋ねる。
(どれもこれもうまいぜ!)口いっぱいにステーキをほうばりながら木村が言葉を返す、ウェイターはニコッと微笑み空いた皿をひきあげていく。
そう、ここは異世界、豪華な朝食を取りながら異世界ライフを楽しむ3人がいた
。
(しかし、なんだなここは天国だな!飯は美味いし、人は優しいし、おまけにファンタジー美女にこの待遇、何もかもが理想の世界だよな!)
と木村は爪楊枝をもぐもぐさせながら2人に言葉をかける。
赤い絨毯の敷かれてある長い廊下を3人はとある待ち合わせ場所に向け歩いている。
(あれから2日、特になにもない、、)
とアキラはテンプレに関して気になっていた。
(そうだな、初めは、あの光に包まれ気が付けば、10人ほどの盗賊に囲まれていて、殺されるかと思ったぜ!)
両手を頭の後ろに回し緊張感のない雰囲気で答える木村
(そうだね、あの時は、なにかされるんじゃないかとおもったけど、その後、扉を開けはいってきた、あの時の3人組に助けてもらって本当に感謝だね、あの3人がいなければ今頃身ぐるみ剥されて色々あれだったろうね!)
優は出来るだけあかるく言葉を2人に掛ける。
(今やあの3人は奇跡の人としてこの国の重要人物だぜ!国の発展のため元の世界の科学を駆使して、様々な物を開発して国を豊かにさせたもんな、この2日間この世界の色々な事を教えてもらってたすかったな。ー今日の朝飯だってあの3人が貢献している食べ物だけど、それよりも、ゆみちゃんかなり好みだぜ!)
頬を桃色にしながら、木村はなにやら想像している様子だ。
時はさかのぼり6年前、あの時の転生者の3人、一人は長髪イケメンの戸田真一、身長は170㎝ほどのやせ型で明るい性格の男、もうひとりは、短髪ひょろっとした肉体の戸田恭也、真一の弟である顔は中の中兄を尊敬する大人しい性格である。もうひとりは松村ゆみ 髪は方ほどのショートカット栗色の髪に目はパッチリ美人で明朗活発な性格で、転生前の白い世界で声をかけてきた女性である。
この3人は、元いた世界で神と呼ばれていた。人間界最高峰の頭脳を持つ人物であった。
あらゆる学問を極めそれを知恵にまでたかめていた3人にとってはこの国で重要人物までのし上がるには1年もかからなかった。この世界では、化学という分野でかなり遅れをとっていたので、3人の発想する、知恵がとても貴重であったし、人を魅了させるためのスキルもあったので、国王や周りの重鎮にとりいり気に入られ今や影の権力者としてこの国を統治している。優たちが転生した時のは戸田達が転生した6年後であった。つまり元の世界の何百倍の速さでこの世界は存在する。よって、元の世界の数秒が、こちらの世界に数年に匹敵することから、万が一元の世界に戻った時の時系列に関しては3人は気にしていない。
長い廊下を抜け100mはあろうかと思われる天井の玄関ホールを通り過ぎ、広大な庭に出ると300mほどはなれた小さな丘の上に松村ゆみが手をふってこちらをみている、3人がそれに答え手をふるとこっちだよと言わんばかりに手招きする松村。
しばらく歩き松村と合流すると
(今日は、戸田たちが野生の兎狩りの練習に君たちといっしょに訓練したいんだって!)
ニコット笑顔を3人にみせるととある場所へ向け3人を誘導する。
ポケットに拳をぐっと握り締め薄めの涙目で
(かわいいー)
と木村。
そんな木村を一瞥して松村の後ろを歩く優。
硬直している木村の背中をたたき
(いくぞ)と声をかけるアキラ。
3人が松村の背中の後につき、歩き始めてすぐに森があった。森を抜けしばらくすると川の音が聞こえてくる。その川に近づくに連れ川の音は恐怖さえ感じる川幅30mほどの濁流の川になっていた。その川には一本の古い橋があり橋の向こう岸では戸田兄弟がまっている。
(私はここまで、か弱い私はこんな所渡れないからあとはがんばってね)
先頭を歩いていた松村ゆみが橋の手前で止まりくるっとこちらに笑顔をみせながら有たちに言葉をかける。
(よーし俺が一番たくさんとってくるぜ)と橋に向かう木村。
あとに続いていったアキラはあまり乗り気でない。
優については目をキラキラ輝かせ木村の後をおう。
(それじゃー気を付けていってきてねー)と笑顔を振りまき見送る松村
その笑顔の口元が、、、
三日月になっているのに優たちは気が付いていない、、、
橋の中央部に来た時に、戸田兄弟が優たちに声をかける。
(あのさー君たちもあの研究所にいた職員ならまあまあ知力もあるよね、そして次に起こることも理解してくれるよね)
(は?っ)と木村。
(まさか?)とアキラ。
(、、、、、)
次の瞬間ドッパンと橋の支柱が爆発する。
橋を支えていた支柱が爆発して優たちごと濁流の川へ落ちていく、なんとか橋の残骸に3人はしがみつき流されながらも呼吸を確保する。
(ごめんねー橋が古かったからねーこんな事故がおきるんだねーうらまないでねー)
と笑顔の松村。
(それとこの先は1000m位の滝なっていて危険だからねーそれと運良く生き残ってもDクラスの魔物がうようよいるからねーだから、、、、、、、、、、、、、確実に死んでね♥)
3人はもがきながらなんとか残骸にしがみつき呼吸を確保する。
呼吸を確保し取りあえず苦しみから逃れたが、どんどん流れが早くなる、滝がせまっているからだ。
(なんでこんなことになるんだよー)と木村。
既に絶望的高低差の死が3人に襲いかかろうとしている。
(30%か、、、、)
アキラが呟いたと同時に3人は大量の水とともに投げ出される。
まるで巨大な洗濯機の中、右から上から左から不規則な圧力の中で呼吸もままならず、意識を落とす木村とアキラ、すかさず遠ざかろうとしている2人の体を引き寄せ抱き抱える優。
(二人ともしっかりして、まだあきらめちゃだめだー!)
優は人生最後の言葉を二人に投げかけ、うるさいほどの濁流の音と下に落ちる加速感なか静かに意識を離しかけたとき
(、、、弱いな)
と微かに声が優の頭の中から聞こえてくる。
朦朧としている意識のなかで、優はそのまま意識を手放した。
既に意識を落としている3人に声の主はわからない、
次の瞬間優の体から黒い霧のようなものが漂い、その霧は3人を包み込む。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パチパチ、パチパチ
(焚き火?)
(ここは?たすかったの?)
横たわりながら、まだ意識が混沌としている優がアキラにといかける。
(ああ、奇跡的に生きている。もうじき木村も起きるだろう、場所は分からないがどうやら相当流れてきたらしい)
と座りながら焚き火の火をみつめ暖をとるアキラ。
ここは深緑の森数10メートル級の木が立ち並び、川沿いの空以外には木で覆われてなにもわからない。
(川の流れから言うと上のほうが俺たちが元いた場所であろうが、どうやら郁恵にも川筋が別れ、どう帰ったらいいのかわからない。むしろ帰るとろこがあるのか、、、今考えるとこうなることがわかっていたな、あの糞猫!)
と、うんざり顔のアキラ
(ああそうだな、俺たちを含めここに転送されたのは6人、30%のコスモスを集めて元の世界に行くには6人では100%をこえている、だから自ずとはじめからこの世界に転送されるのは3人ということ6人では定員オーバー。だからって普通殺しに来るか?別に俺たちがこの世界で何もしないといえばそれでよかったんじゃないか?あいつら鬼畜だぜ!)うつむきながら怒りに目を細ませるアキラ。
(つまりだ、このかりは返さなければいけなくなったな)
と意識を取り戻し、アキラと優の話を聞いていた木村が横たわりながら言う。
(そうだな、これはあいつらが次のステージに行くか俺たちが次のシテージへ行くかの勝負になったな、もちろん次にあったら殺す)、怒りをにじませるアキラ
次の瞬間。
ドスン。ドスン。ドスン。
何かがこちらに近づいてくる足音がする。
(おいおいまっすぐこっちに来るぜ)
(あのさ。今更だけど焚き火ってまずくない?)
(、、、、、、)
すると、開き直ったかのようにアキラが言い放つ。
(どんまい!)
森の木をなぎ倒し、その足音はこちらに向かって歩を早めてきた。
(逃げるぞー)
川沿いを涙目の全力で走る3人。みつかったら死ぬ、そのことだけは考える間もなく理解できる3人。
次の瞬間、先ほど焚き火あたりの横から(ズシーンッ)と木をなぎ倒しそれが姿を現す。
全高5m長さ8メートルほどの大トカゲ?言うなれば古代の生物ティラノサウルスである。
3人は一瞬振り向きそれを確認すると今度は半泣きで疾走する。
(グルルルル、グルルルル)
喉を鳴らしながらそのオオトカゲは焚き火の周辺の匂いを嗅ぐようにして周りを見渡す。すると視界の隅に猛スピードで遠ざかる3人をみつける。
(ガオーッ)
3人に雄叫びを轟かせ、再び走り始めた。
言葉はない。
3人は絶望的な雄叫びを聴きもはや全泣きで疾走する。
ドスン、ドスン
足音が物凄い勢いで近づいてくる。
後ろからくる絶望に目を向けることは出来ない、
ひたすら走る、息がくるしい、足の感覚もなくなってきた、握り締める拳からは血が出ている、そんなことは関係ない。
走る、走る、
次の瞬間、圧倒的な潔さを感じる絶望が、
今度は前方に待ち構えている。
3本の大きなつの、褐色色の皮膚、顔の周りには大きく方そうなエラのようなものが生えている全高3m長さ15mほどのサイ?
言うなればコレも古代生物トリケラトプスが目の前にいることで3人は急停止する。
(もう無理だよな?)
息を切らし言葉を搾り出すように、木村が2人に声をかける。
(たしかトリケラトプスっって草食のはず、明らかに俺たちをみてよだれたらしてるぜ?しかも肉食獣のように鋭い歯がたくさんあるし)
(、、、あきらめたら、そこで終わりと言いたいが、、、)
と乱れる息を抑え静かに言葉を放つ。
(この状況、逃げるは無理、森へ逃げる、すぐ追いつかれる、空を飛ぶ、なおさら無理、こうなれば、、、)
(おい木村君、アキラ君。いいかいよく聞いて!僕を信じて!僕の合図で川へとびこむよ!)
(そうなるのか、、、)
うんざりした顔でアキラが呟く。
木村も4つんばいで地面に伏せながら
(了解)
(いいかい、せーので行くよ!)
(おう!)
後ろから、ドスン ドスン
前から ドスドスドスドス
2匹の絶望が迫ってくる、距離は50m、30m、10m、5m
(今だ!!!)
ザパーーン
崖下5m程の川へ再び飛び込む3人。
次の瞬間、
(ズドン)
二匹の魔物が体当りする。
目の前にしていた獲物が突如姿を消し、その代わりに自分と同じぐらいの質量の何かがぶつかる。
2匹は突如ぶつかってきた生物に対し、本能的に(あれはおれのえものだ)と言わんばかりに
(ガオー) (バオーン)と同時に雄叫びを上げる。
(成功かな?)
(あいつら脳筋はおそらく喧嘩になるから、そのうちに僕たちはお暇するよ!)
(その前にあいつらの情報がわかるか優?)
2匹の魔獣をみながら(覗き見)を発動する
名称:Tレックス(恐竜)
コスモス量:5
HP:980
MP:500
力:1050
素早さ:780
知力:5
攻撃力:D
防御力:D
スキル:破壊の咆哮スキルランクD
総合ランク:D
名称:3角トリケラ(恐竜)
コスモス量:3
HP:1250
MP:500
力:510
素早さ:950
知力:5
攻撃力:D
防御力:C
スキル:破壊の咆哮スキルランクD
総合ランク:D
(無理だな、、、僕たちの力じゃ、かすり傷もつけられない)
(そうだろうな、みたまんまのやばさだもんな)
(30%コスモスを集めるってぶっちぎりでムリゲーじゃね?だいたいこの世界の30%でどのくらいだよ?)
、、、、、木村の言葉にアキラと優は沈黙する。
そんな3人と2匹のやり取りを見つめる魔獣が上空3000mに5匹。
そのうちの3匹が羽ばたく翼を収め急降下してくる、上空の出来事に3人は気が付く事は出来ない。