02.魔王爆誕
読み直してたら色々変更したくなって、ちょっと1話目変更加えてます。
猪豚鬼ターブが消えた。
正確には、爆発して消えた。
さっきまで宴会が開かれていた広場は跡形もなく吹き飛び、地面には巨大なクレーターができている。
ターブも女たちも全て消滅していた。
静まり返る魔界スラム。
虐げられ隅にいた魔族のみが被害に合わず、瓦礫と土埃の中から現れる。
あの時、俺の首元を掴み上げた魔族もいた。
そして、ゆっくりと距離を取る。
「……お、おい」
誰かが震えた声で言った。
「今の……こいつがやったのか?」
全員の視線が俺に集まる。
俺自身もまだ状況を完全には理解していなかった。
だが、ひとつだけ確かなことがある。
俺はさっき、リア充に向かって「爆発しろ」と言った。
そして、本当に爆発した。
つまり。
(リア充を……爆破できる)
笑いが込み上げてくる。
止まらない。
前世では、ただ画面の向こうで「爆発しろ」と呟くだけだった。
だが今は違う。本当に爆発する。
その時だった。
「何事だ!!」
広場の奥から怒号が響く。
振り向くと、離れた場所に居たターブの部下たちが武器を持って走ってきていた。
片手に武器を持ち、片手に肉や酒を持っている所をみると、ターブのお零れに預かり宜しくやっていたのだろう。
一緒にいた女達も着の身着のまま、武器を持ち走ってくる。
「ターブ様はどこだ!」
「お前がやったのか!」
20人以上いる。取り囲まれた。
だが、俺は笑いが止まらない。
「丁度いい。これで上手くいけば確証に変わる。」
(じゃあ、逝ってみようか!)
「リア充爆発しろ!!」
――リア・エクスプロージョン。
ドォォォォォン!!
ターブの部下や女がまとめて吹き飛んだ。
「ま、まただ……」
「リア充爆発しろって言ってたぞ。」
「あいつ、ただの死に損ないじゃなかったのか。」
その場に、俺に手を出そうとする者は居なかった。
その日から。
リア充狩りが始まった。
俺はスラムを出て魔界の上層へ向かって歩き出す。
やることはシンプルだ。
充実してる奴らを爆発させる。
スキルに目覚めてから、頭の中でリア充に反応して機械的な声が聞こえる。
それが俺を更に苛つかせた。
固い絆を誇る魔族部隊。
「仲間のために命を懸ける!」とか言っている。
【リア充度75%固い絆を感知】
爆破。
互いに守り合う為、脅威の強さを誇る同性愛者部隊。
「お前の事は俺が守り切る!」と言い合っている。
爆破。
公共の面前でイチャつく恋人同士の魔族。
これは言うまでもない。
爆破。
そして、魔界に恐怖が広がった。
「田中ハジメに見つかったら終わりだ」
「愛する者がいる奴から死ぬ」
そんな噂まで流れ始める。
俺の進撃は止まらない。
気がつけば、俺は魔界の中心、魔王城の前に立っていた。
魔王城とは思えぬ純白の城は、リア充の住みかというに相応しい威容を誇っている。
その玉座には圧倒的なカリスマ性と実力を持った絶対王者。魔王がいる。
そして、隣には魔王にも負けない求心力を持ちそうな王妃の姿。
「お前が私の部下を爆破し回っている田中ハジメだな。」
「遂にここまできたか。」
「だが、その横暴な振る舞いも今日までだ。」
「今ここでその不遜な行いに報いを受けさせてやる。」
(良く喋るな。なげーわ。)
王妃が心配そうに魔王の腕を掴む。
「あなた……危険です」
その瞬間、俺のスキルが反応した。
【リア充度100%心の底からの心配を感知】
胸の奥で魔力が膨れ上がる。
(ああ、分かる。これは最大火力だ。)
王妃が前に出る。
「王を守ってください!」
だが、もう遅い。
俺は呟いた。
「リア充爆発しろ」
――リア・エクスプロージョン。
ドォォォォォォォォォン!!!
凄まじい爆発が王城を包んだ。
城の半分が吹き飛ぶ。
瓦礫が崩れ落ち、煙が空を覆う。
やがて煙が晴れる。
そこに立っていたのは、俺だけだった。
玉座は残っている。
俺はゆっくり歩き、そこに腰を下ろした。
こうして。
魔界史上、最も理不尽な王が誕生した。
お読みいただきありがとうございます!
宜しくお願いします!
次回3話目でヒロイン登場します!!




