表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強スキル「リア充爆発しろ」 〜元社畜魔王は、幸薄勇者を倒せない〜  作者: 絵夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

01.リア充には爆発を

リア充は爆発するべきだ。


俺の名前は田中ハジメ。どこにでもいる、冴えないサラリーマン。


彼女なし。友達少なめ。

別に見た目は悪く無いはずなんだが、性格の悪さが顔に出ているらしい。


趣味はSNS。イイねは押さない。


カップルの旅行写真。

結婚報告。

子供の誕生日。


それらを静かに眺め、こいつら爆発しろと思い、そっとアプリを閉じる。


それが俺の、ささやかな娯楽だった。



そんな俺のクソみたいな人生が終わったのは、クリスマスイブの夜。

残業帰りに通った駅前広場だった。


只でさえイルミネーションで混雑して、

通りずらい道の真ん中で人だかりが出来ている。


「ふん。」


苛立ちの空気を全面に纏い、

通り過ぎようとしたその時。

俺は、騒ぎ始めた取り巻き連中の1人にぶつかり、街路樹に頭から突っ込んだ。


頭からは血が出ているが、誰も気付いていない。


「こいつら…」


苛立ちがピークに達し、この騒ぎの元凶を睨みつける。

もちろん気付いていない。

人だかりの中心にはモデルのような美男美女。

男が片膝をつき、小さな箱を開く。

中には指輪が。


「結婚してください」


割れんばかりの歓声。拍手。

女は泣きながら頷く。


恥ずかしげもなく熱いキス。

そして、抱擁。


幸せオーラ全開。


その瞬間――


俺の脳内で、何かが切れた。


プツン。


(……リア充)


(爆発しろ)


そこで、俺の意識は途切れた。







目が覚めると、俺は何かに掴まれていた。


「……は?」


鼻を刺す腐臭。空はどす黒い紫色。周囲には角や牙、翼の生えた人型。

思考の定まらない頭でも解る。

どう見ても魔族だった。


「おい新入り」


かろうじて首だけ振り向くと、筋肉ダルマみたいな魔族が俺の服の首元を掴んで持ち上げていた。


「みない顔だな。ようこそ魔界スラムへ。ここは底辺のゴミ溜めだ。」


「お前、明日ぐらいにはくたばってそうだな。その時は俺が食ってやるよ。へへへ」



なんだここは。

言ってることも物騒すぎる。


とりあえず、今食う気はない事と、俺は頭の血管が切れて急に死に、何故か魔界のスラムに転生していると、理解する事にした。



そこからの生活は地獄だった。

食事は残飯を漁った。

魔族社会は完全実力主義。弱い奴は殴られ、奪われ、踏みつけられる。




まあ、前世と大して変わらないのだが。




ある日。

スラムの広場で宴会が開かれていた。


主催は猪豚鬼ターブ。

スラムを支配する男だ。


巨大な肉や高そうな酒、そして、1人で居ても二度見してしまうような美女魔人が30人。


肩揉み係。給仕係。膝枕係。巨大な団扇で風を送る係。


どこも一緒だな。

強い奴が持ち、弱い奴は何も持たない。



「ブハハハハハ!」


ターブが笑う。

幾人もの美女を抱き寄せながら、豪快に肉をかじる。


「いいかクズども!」


周囲のスラム民に向かって叫んだ。


「お前らは俺様の幸せを彩る背景なんだよ!」

「指を咥えて見ているがいい!」


美女たちが黄色い声をあげ、ボルテージが上がる。


そして、ターブと女たちの酒池肉林が繰り広げられた。




腹が鳴る。

俺は碌に何も食ってないのに。


空腹。怒り。嫉妬。憎しみ。


前世と今世、すべての黒い感情が胸の奥で沸騰する。


そして今、限界が来た。


「……イチャついてんじゃねぇええええ!!」


その瞬間、体の奥から赤黒い魔力が噴き出した。


頭の中に機械的な声が響く。


【固有スキルを獲得】

【リア充爆発しろ】


「……は?」


意味が分からない。


だが体は理解していた。


俺はターブを睨みつける。美女に囲まれた、幸せの塊みたいな豚野郎。


そして呟いた。


「リア充……爆発しろ」


――リア・エクスプロージョン。


次の瞬間。


ドォォォォォォォォォン!!


爆音と共に閃光と衝撃波か当たりを襲う。


宴会場が消えた。


美女も。

ターブも。


何もかも粉々に。



スラムの広場だった場所に、

一時の静寂が訪れる。



周囲に居た魔族たちが、恐怖の目で俺を見ている。

あの時、俺の首を掴んだ男もその中に居た。



少し時間を要したが、理解できた。


今の状況を。


つまり、俺はリア充を爆破できる。


込み上げた笑いが止まらない。


この世界は力がすべて。

強い者が支配する世界だ。


ならば。


この力があれば、俺は魔王にだってなれる。


「いいだろう」


俺は笑った。


「この世界のリア充ども。俺が全部、爆発させてやる!」




魔界史上最も理不尽な魔王が産声をあげる。


だが、この時の俺はまだ知らなかった。


この世界に、


最強スキル(リア充爆発しろ)がまったく通用しない勇者がいることを。

お読みいただきありがとうございます。

今回はシリーズとして続けていきたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ